不死鳥のごとくよみがえったポーランドの世界遺産、ワルシャワ歴史地区

ポーランドの首都・ワルシャワ。

もともとは小さな漁村に過ぎませんでしたが、14世紀以降商工業の発展にともない重要性を増し、1596年クラクフに替わってポーランドの首都となりました。

700年以上の歴史を誇る旧市街は「ワルシャワ歴史地区」としてまるごと世界遺産に登録されています。

ところがここは「旧市街」といっても戦後再建されたもので、実は「新しい」街なのです。

第二次世界大戦後、1947年のワルシャワの姿。あまりの惨状に言葉を失います。

1944年、ナチス・ドイツに対する抵抗「ワルシャワ蜂起」が失敗し、報復のために街は徹底的に破壊されました。戦後、ワルシャワの旧市街は「ひびの一本にいたるまで」といわれるほど元の姿に忠実に復元されのです。

真正性(オリジナルであること)を重視するユネスコが復元であるワルシャワの旧市街を世界遺産と認めているのは例外的ともいえるほど特別なこと。ワルシャワ市民の街を愛する想いがここを世界遺産にしたといっても過言ではありません。

旧市街の街歩きの起点となるのが、いつも多くの人々でにぎわっている王宮広場です。

ポーランドの首都をクラクフからワルシャワへと移したジグムント3世の碑が中央に立ち、広場の端を城壁が囲んでいます。パステルカラーのカラフルな外壁にオレンジ屋根の可愛らしい建物の数々に胸が高鳴りますね。

鮮やかなオレンジが目を引く大きな建物はかつての王の住居であり、行政機関も置かれていた旧王宮。

ジグムント3世の住居だったころは、「ヨーロッパで最も美しい宮殿のひとつ」と言われていたのだとか。

王宮広場から旧市街の路地に分け入ってみましょう。王宮の正面にあるホテル「キャッスルイン」の脇の通りが、王宮広場と旧市街広場を結ぶ旧市街のメインストリートです。

通りに入ってほどなくして見えてくるのがれんが造りのファサードが印象的な、洗礼者ヨハネ大聖堂。

ワルシャワで最も古い教会で、歴代のポーランド国王二人がここで戴冠式を行ったという由緒ある教会です。

内部は、色鮮やかなステンドグラスが印象的な荘厳な雰囲気。

大聖堂を過ぎてそのまま歩いていくとワルシャワ旧市街の中心、旧市街広場にぶつかります。

一つひとつ異なる色、デザインの個性豊かな建物の数々はいくら眺めても飽きることがありません。

これらすべての建造物を再現するためにどれほどの労力が費やされたのかを考えると、今見ている光景の尊さが胸にせまってくるはずです。

広場をぐるっと囲むようにカフェやレストラン、ショップが並び、中心には14世紀後半にすでにワルシャワの紋章として用いられていたという人魚の像がたたずんでいます。

ワルシャワのシンボルである人魚の姿はおもな観光スポットやタクシーの車体など、ワルシャワのあちこちで見つけられるので探しながら歩いてみてください。

旧市街広場からさらに北西に進んでいくと見えてくるのがバルバカン。

バルバカンは16世紀中頃、旧市街を囲む市壁を強化するために建設されたバロック様式の砦。馬蹄形の砦は非常に珍しく、現存しているのはヨーロッパでも3つしかありません。このバルバカンを超えた北には新市街が広がっています。

旧市街の本当の魅力を味わうなら、メイン通りだけでなく、人通りの少ない路地も散策してみましょう。どこを歩いてもカラフルで可愛らしい建物に出会えますよ。

ひっそりとした路地を歩いていると、どこからともなく馬車の音が聞こえてきて中世そのままの雰囲気が感じられるはずです。

ワルシャワの旧市街は戦後復元されたものなので、一見歴史ある建造物のようでも近づいて見ると案外新しいことがわかり、多少の違和感を覚えるかもしれません。

しかし、焦土と化した街をこれほどまでに美しくよみがえらせた人々の情熱や努力を思うと、その違和感すらも感動に変わります。

この建物も「ひびの一本にいたるまで」忠実に再現された結果。こんなところにも街に対する人々の愛情が感じられます。

この世界遺産の街は、その美しさをもって希望を捨てないことの大切さと、平和の尊さを私たちに語りかけているかのようです。

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