リスボン「国立アズレージョ博物館」で美しすぎる装飾タイルの世界を堪能!

ポルトガルを旅すれば毎日必ず目にするといっても過言ではないのが、アズレージョ。

「アズレージョ」とは、ポルトガル伝統の装飾タイルのこと。ポルトガルの街を歩けば、教会やホテル、レストラン、民家など、あちこちで多種多様なアズレージョに出会います。

そうしてアズレージョに触れているうちに、気付けばすっかりアズレージョに魅了されてしまう人も少なくないはず。

アズレージョに惹かれたら、その奥深い世界を存分に堪能できる場所に行ってみましょう。それがリスボンにある国立アズレージョ博物館。

マドレ・デ・デウス教会を改装して建てられた博物館で、15世紀から現代までの芸術的、歴史的価値の高いアズレージョの傑作が集結。それらが年代やテーマごとに展示されています。

「アズレージョ」という単語は、アラブ語で「モザイク片」を意味する”az-zuleycha”に由来するといわれています。現在のアズレージョの原型となったタイルは、14世紀にイスラム教徒によってスペインに持ち込まれ、15世紀後半にスペインのセビーリャからポルトガルへと輸入されました。

17世紀には、戦いや狩猟の場面を描いたアズレージョが王宮や貴族の館の内壁を飾るようになります。一方、教会や修道院では、聖書や聖人といった宗教的なモチーフを描いたアズレージョが盛んに用いられるようになりました。

大量生産がはじまった18世紀には、公共の建物や一般の建物にもアズレージョが取り入れられるようになり、描かれるモチーフの幅も広がっていったのです。

アズレージョに使用される最もポピュラーな色は青ですが、黄色や緑といった多彩色のアズレージョも多々見られます。

一枚のタイルにひとつの模様を描いたものから、何枚ものタイルをつなぎ合わせて一枚の絵画のように描いたものまで、形や表現手法もさまざま。

商店や街の様子が描かれ、当時の風俗や人々の暮らしぶりが垣間見える興味深い作品もあります。

1300枚ものタイルに大震災前のリスボンの街並みを描いた壮大な作品は非常に歴史的価値の高いもの。

さらには、擬人化した動物を描いた、どこか風刺的で思わずクスッと笑ってしまうようなものまで。アズレージョの種類の豊富さに驚かされます。

1900年代以降の現代のアズレージョにはそれまでになかったモダンな味わいが加わり、新鮮な風を吹き込んでいます。

国立アズレージョ博物館の魅力は、アズレージョの素晴らしさを空間全体で感じられること。アズレージョの歴史や製造工程を紹介するだけではく、元教会という建物を生かして、アズレージョがポルトガル芸術においてどのような役割を果たしていたのかを体感することができるのです。

博物館内に残る礼拝堂に見る、黄金の装飾や絵画、アズレージョが一体となった荘厳な空間は圧巻。

ポルトガルにおける宗教芸術の美をまざまざと見せつけられます。

館内の回廊や階段にも、もちろんアズレージョ。

もしアズレージョがなかったらどれだけ殺風景な空間になっていたかを考えると、これらの空間におけるアズレージョの存在感が実感できます。アズレージョはまさに、ポルトガルの建築や芸術において欠かせない存在なのです。

伝統を守りながら進化し続けてきたアズレージョの世界にどっぷりと浸れる国立アズレージョ博物館。ここを去るころには、ますますアズレ―ジョの虜になっていることでしょう。

Museu Nacional do Azulejo (国立アズレージョ博物館)
住所:Rua da Madre de Deus, nº 4 | 1900-312 Lisboa
公式サイト:http://www.museudoazulejo.pt

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