日本人が知らないドイツの穴場、ハルツ地方の3つの可愛い町をめぐる

ドイツの中央よりもやや北に位置するハルツ地方。中世の時代、ハルツの山は魔女が棲むと信じられていた場所で、今もハルツ地方には神秘的な魔女伝説が残っています。

ドイツの主要都市から距離が離れていることもあり、日本ではほとんど無名のこの地方。しかし、ドイツの他の地域とはひと味もふた味も違う、個性あふれる魅力的な町々が点在する穴場的なエリアなのです。

なんとうち2つは世界遺産。中世の面影を色濃く残す、ハルツ地方の可愛らしい3つの町をめぐってみましょう。

・クヴェトリンブルク

ハルツ地方でも中世の町並みが最も良く保存されている町のひとつが、1000年の歴史をもつ古都・クヴェトリンブルク。ドイツの初代王、ハインリヒ1世が創設したザクセン王家の重要な拠点として位置づけられたことから「ドイツ発祥の地」とも呼ばれています。

あらゆる年代、あらゆる建築様式の木組みの家々が1300以上も残っているという、木組みの建築博物館のような町で、旧市街と城山は世界遺産に登録されています。

クヴェトリンブルクのシンボルが、城山にそびえる12世紀創建の聖セルヴァティウス教会。シンプルな造りながらロマネスク様式の傑作として名高く、ドイツ屈指の教会宝物を有していることもあって、その歴史的・文化的価値は計り知れません。

旧東ドイツに属していたこともあって、それほど近代的の影響を受けなかったからこそ、先進国とは思えないような、素朴でのどかな風景が残っているのもクヴェトリンブルクの魅力。

世界遺産でありながら有名観光地に比べると観光客も少なく、歩くだけで中世にタイムスリップした気分になれることでしょう。

・ヴェルニゲローデ

クヴェトリンブルクの西およそ30キロのところにある、ヴェルニゲローデもカラフルな木組みの建物が連なるメルヘンチックな町。

旧市街にあるヴェルニゲローデのアイコンが、2本のとんがり屋根が印象的な市庁舎。現在見られる建物は、1543年の火災の後に再建されたものです。絵本から飛び出してきたかのような可愛らしい姿に、ひと目で恋に落ちてしまうはず。

市庁舎周辺には木組みの建物が連なる通りが広がっています。なかでもヴェルニゲローデで最も小さい家「クラインステ・ハウス」をはじめ、個性が光る木組みの家々が並ぶコッホ通りは散策にぴったり。

町を見下ろす小高い丘の上にそびえるヴェルニゲローデ城も必見。徒歩で行くのは大変なので、「シュロスバーン」や「ビンメルバーン」と呼ばれるミニ観光列車を利用すると便利です。

12世紀からの歴史をもつ、「これぞヨーロッパの古城」といった重厚なたたずまいをもつ城は、圧巻の迫力。

「ラプンツェル」の城のモデルではないかともささやかれるこの城は、現在博物館として公開されていて、「祝宴の間」をはじめとする豪華な部屋の数々を見学することができます。

・ゴスラー

ヴェルニゲローデからさらに西へ40キロのところに位置するのが、ハルツ地方の中心都市・ゴスラー。

ドイツの木組みの町と聞けば、パステルカラーの家々が並ぶカラフルな町を思い浮かべる人が多いことでしょう。しかし、ここゴスラーは銀色に輝くミステリアスな木組みの建物が連なる町。典型的なドイツの木組みの町とはまったく異なる風景に、新鮮な驚きと感動を覚えます。

10世紀にはじまった近郊の銀鉱山の採掘にともなって発展したゴスラーは、11世紀に皇帝ハインリヒ3世が城を建てたことで、ドイツとヨーロッパの歴史の中心となりました。現在ののどかな地方都市の趣からは想像もできないほどですが、旧市街にはかつての繁栄ぶりを物語る豪華な装飾が施された木組みの家々が残っています。

ゴスラーの町を象徴する存在が、壮麗な歴史的建造物が集中するマルクト広場。

広場に面するマルクト教会の塔は上ることができ、ここから眺めるゴスラーの町並みはまさに絶景です。

マルクト広場を後にしたら、ドイツに現存する宮殿のなかでは最大規模を誇る皇帝居城やゴスラー博物館などの見どころを訪ねながら、ゴスラー独特の木組みの町並みをのんびりと散策してみては。

すでにドイツを訪れたことがある人にとっても、新鮮に映るに違いないハルツ地方の風景。きっと、今まで知らなかったドイツの魅力に出会えるはずです。

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