「007 スカイフォール」のロケ地、ロンドンのナショナル・ギャラリーで世界の名画を堪能

世界に名だたる美術館や博物館が目白押しのミュージアム天国、ロンドン。

ロンドンで絶対にはずせない3大ミュージアムといわれるのが、大英博物館とナショナル・ギャラリー、そしてヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュージアムです。

このなかで絵画好きな方に特におすすめなのが、2300点以上のヨーロッパ絵画を所蔵する「ナショナル・ギャラリー」。

とりわけイタリア・ルネッサンスやオランダ・フランドルのコレクションで知られ、現存する作品が30点あまりしかないというフェルメールの貴重な一品も。加えて、ゴッホやモネ、マネ、ピカソといった後期印象派や抽象画の作品も充実しています。

さらには、映画「007 スカイフォール」のロケ地になったことで、映画ファンからも熱い視線を浴びるようになりました。

館内には70以上の展示室があり、やみくもに歩き回ると同じところを何度も歩いたり、一部の展示室を見逃してしまったりする可能性大なので、フロア案内を購入してから回るのがおすすめ。

フロア案内には日本語版もあり、イラスト付きで特に重要な作品の数々がピックアップされています。

ここで、ナショナル・ギャラリーで見逃せないおもな作品の一部をご紹介しましょう。

・「ヴァージナルの前に立つ若い女(A Young Woman Standing at a Virginal)」ヨハネス・フェルメール作(展示室16)

展示室も作品自体も小さく、見過ごしてしまう人も多いのですが、絶対に素通り禁止です。フェルメールが生涯で描いた50点ほどの作品のうち、現存するのはわずか30数点。そのうちの1点が見られる数少ないチャンスです。

意外なほどの小品ですが、もの言いたげな女性の表情がどこかミステリアスで、引き込まれるような存在感があります。どこから見ても、どうも絵のなかの女性と目が合っているような気がするのです。

「光の魔術師」と呼ばれ、光線とそれが作り出す陰影を巧みに操った室内画を得意としたフェルメールの技量がここでも発揮されています。

・「戦艦テメレール号(The Fighting Temeraire)」ウィリアム・ターナー作(展示室34)

ナショナル・ギャラリーのスタッフが「イギリス絵画の最高傑作」と胸を張るのがこの作品。イギリスきっての風景画家であり、ロマン主義の巨匠ウィリアム・ターナーは、崇高かつ壮大な風景を求めて国内外を旅行しました。

この作品は、彼がトラファルガーの海戦で活躍した戦艦テメレール号が解体のために錨泊地に向かう様子を目撃し、その風景に心打たれて描いたもの。夕陽を浴びたテメレール号が醸し出すなんともいえない哀愁と、淡く美しい色使いが見るものの心に迫る傑作です。

輝かしい功績を遺した戦艦の幕引きは、この作品の制作前年にロイヤル・アカデミーの教授職を辞したターナー自身の栄光の日々の終焉と重なるともいわれています。

その高い評価と人気を受けて、この作品は2020年からイギリスで流通する20ポンド紙幣にデザインされることになっています。

・「ひまわり(Sunflowers)」フィンセント・ファン・ゴッホ作(展示室43)

館内に展示されている作品中、最も多くの人だかりを集めていたのがナショナル・ギャラリーのアイコン的存在でもあるこの作品。

この作品は、ゴッホが残した複数の「ひまわり」のうち、彼自身が気に入った「12本のひまわり」(ミュンヘン、ノイエ・ピナコテーク所蔵)をもとに制作した4番目の作品といわれています。

ゴッホにとって、南フランスの太陽の象徴、ひいてはユートピアの象徴であったとされる黄色いひまわり。その生命力を伝える力強い躍動感と色彩感から目が離せません。

・「007 スカイフォール」の撮影が行われた展示室34

ウィリアム・ターナーの「戦艦テメレール号」がある展示室34は、「007 スカイフォール」のロケ地でもあります。大きな馬の絵、スタッブス作の「ホイッスルジャケット」が目印。

ナショナル・ギャラリーの展示室は部屋によって色調や雰囲気が異なりますが、この展示室は重厚でクラシカルなムードであると同時に、天井から光が差し込む開放的なつくりになっています。

この部屋は、ボンドが新しいQと初めて会うシーンに使われました。若きQはウィリアム・ターナー作「戦艦テメレール号」を見て、ボンドに対する皮肉のように「スクラップ待ちの古くて大きな軍艦」だと語ります。

まさに、盛者必衰、ボンド自身の老いを暗示するかのような一コマ。「007」ファンなら、ボンドと同じように長椅子に腰かけて名画を眺めたいものですね。

数々の名画を所蔵するギャラリーであり、映画のロケ地にもなったナショナル・ギャラリーは、ロンドンを訪れたからには一度は足を運びたいスポット。重厚感あふれる建物自体も美しいので、アートファンならずとも感動すること請け合いです。

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