1日で3ヵ国を旅する!?モロッコからフェリーとバスを乗り継いでジブラルタルに行ってみた

モロッコ北部の港町・タンジェ。20世紀前半以降、モロッコの海の玄関口としてアフリカ大陸とヨーロッパ大陸をつなぐ国際都市として発展してきました。タンジェからフェリーでジブラルタル海峡を渡れば、わずか1時間~1時間半でスペインへと到着します。

モロッコからフェリーでスペインへと渡り、さらにバスに乗り継げば、たった一日でモロッコ・スペイン・イギリス領ジブラルタルの3ヵ国を踏破することが可能。

島国の日本に住んでいると普段は考えられない、一日で3ヵ国の地を踏む旅をレポートします。

・タンジェからフェリーでスペインに渡る方法

モロッコのタンジェからスペインへと渡るフェリーのルートはおもに2つ。

ひとつはタンジェ旧市街のすぐそばにある旧タンジェ港から、タリファへと渡るルートで所要1時間~、料金39ユーロ~。もうひとつは、タンジェ市内から東へ約40キロのところにある新タンジェ港からアルへシラスへと渡るルートで所要1時間半~、料金22ユーロ~です。

まずこの2つの選択肢で迷ってしまう人が多いのですが、筆者は前者の旧タンジェ港からタリファへと渡るルートを選びました。その理由は、朝8時のフェリーに乗りたかったため、宿泊先から歩いて行ける旧タンジェ港から出る便を利用したほうが確実だと判断したからです。

タンジェの鉄道駅の近くから新タンジェ港に向かう市内バスやグランタクシー(乗り合いタクシー)もあるのですが、市内バスは本数が少なく早朝には運行していませんし、グランタクシーは人数が集まるまでどのくらい時間がかかるか読めません。

旧タンジェ港からのルートのほうが若干割高ではあるものの、決まった時間のフェリーに確実に乗りたいなら、旧タンジェ港からの便を利用したほうが安心です。

旧タンジェ港とタリファを結ぶ便、新タンジェ港とアルへシラスを結ぶ便、それぞれ複数のフェリー会社が運航していますが、筆者は大手で窓口のサポートもしっかりしている「FRS」を選択しました。チケットはFRSのホームページやタンジェ市内の窓口や代理店でも購入できるほか、ハイシーズンでなければ当日港で購入することもできます。

FRSはタリファ港~アルへシラス港の無料送迎サービスを実施しているので、タリファ到着後アルへシラスへと移動するなら、このバスを利用すればスムーズにアルへシラスまで行くことができます。

・フェリーに乗ってスペインへ

乗船当日、まだ日が昇っておらず薄暗い朝7時すぎに旧タンジェ港へと到着しました。

旧タンジェ港からは、城壁に囲まれたメディナ(旧市街)が見えます。暗い中で見る街並みもなんだかロマンティック。

フェリーといえどモロッコからスペインへと渡る国際線。乗船前にターミナル内でモロッコの出国手続きがあります。

モロッコ出国には、出国カードの記入が必要。出国審査官からカードを受け取ってカードに記入したうえで出国スタンプをもらい、モロッコを出国しました。

ターミナルを出たら、連絡橋を渡って船着き場へと向かいます。

船内はとても清潔かつ近代的。シートはふかふかで座り心地抜群です。

フェリーは定刻よりも30分ほど遅れてタンジェ旧港を出港。タンジェの白い街並みがしだいに遠ざかっています。モロッコを離れる一抹の寂しさと、これから訪れる旅先への期待を胸にモロッコを後にしました。

・スペイン到着、アルへシラスへ

一時間強のクルーズの後、スペインのタリファ港が見えてきました。

ふ頭にたたずむキリスト像が目に入った瞬間、イスラム世界からキリスト教の世界へやってきたんだという実感が湧いてきます。

タリファ港に到着したら、ターミナル内でスペインの入国審査を受けます。スペインの入国に際しては、特に入国カードなどもなくいたってスムーズ。

ターミナルを出ると、目の前にアルへシラス行きのFRSの無料バスが待っているので、それに乗ってジブラルタルへの拠点となるアルへシラスへと向かいます。

・バスを乗り継いでジブラルタルへ

バスに乗って30分ほど揺られると、アルへシラス港に到着。アルへシラス港からアルへシラスのバスターミナルへは徒歩で10分強です。

アルへシラスのバスターミナルからジブラルタルに行くには、「ラ・リネア(La Linea)」行きのバスに乗車し、所要約30~45分。

ラ・リネアのバスターミナルからジブラルタルとの国境までは徒歩すぐなので、歩いて国境を越えます。

・スペインを出国し、ついにジブラルタル入国

スペインとジブラルタルの国境は、歩行者用と自動車用に分かれており、徒歩で国境を越える場合は、バスターミナル側から見て右側の建物へと進みます。

まずはスペインの出国審査を受け、その後ジブラルタルの入国審査を受けます。出入国審査といってもパスポートの顔写真を見て本人かどうか確認されただけで、パスポートの履歴をチェックされたり、出入国スタンプを押されたりすることはありませんでした。

拍子抜けするほどあっさりとした出入国です。とにもかくにも、これにてジブラルタルに入国。

荒々しくそびえるジブラルタルの岩「ザ・ロック」を目の前にしたときの感動はひとしおで、「ついにジプラルタルにやってきたぞ!」という喜びが湧き上がってきます。

この日の朝、まだモロッコにいたのがなんだか信じられないほど。

一日で3ヵ国の地を踏むという珍しい体験は、異次元の世界を旅してきたかのような不思議な感覚と、何かを成し遂げたかのような高揚感をもたらしてくれました。

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