神聖ローマ皇帝の戴冠式が行われたフランクフルト大聖堂で、ドイツの歴史に触れる

ドイツの空の玄関口であるフランクフルトは、旅の拠点として世界中から多くの人々が訪れる交通のハブ。中世の面影を残す都市が多いドイツにあって、高層ビルが建ち並ぶフランクフルトの町並みは異色の存在といえるでしょう。

そんな大都会フランクフルトは、実はドイツ有数の古都。第2次世界大戦で町の大部分が焦土と化した後、近代都市として歩むことを決めたため、古い町並みはあまり残されていませんが、ドイツの歴史上きわめて重要な建造物を抱えています。

フランクフルトで絶対に見逃せないスポットのひとつが、旧市街にひときわ高くそびえる大聖堂。赤茶色の堂々たる姿は、マイン河畔からもひときわ目を引きます。

フランクフルト大聖堂の正式名称は「バルトロメウス大聖堂」ですが、かつて神聖ローマ帝国の選挙や戴冠式が行われていたことから「カイザードーム(皇帝の大聖堂)」とも呼ばれています。

この大聖堂の歴史は、680年頃、ここに一人の貴族の少女が葬られ、宮廷礼拝堂が建てられたことにはじまります。もともとはごく小さな建物にすぎませんでしたが、5度にわたる増改築を経て、現在のような壮麗な姿となりました。

今日見られるのは、おおむね13~15世紀にかけて改築された後のゴシック風の建物。第2次世界大戦下の空襲では、完全に崩れることはありませんでしたが、天井や内部は多大な被害を受け、1950年まではほとんど廃墟と化していましたが、1970年代にようやく修復されました。

フランクフルト旧市街の中心地、レーマー広場から延びる細い路地からは、大聖堂の塔が顔をのぞかせています。

その路地を抜けると、突如として眼前に壮大な大聖堂が現れます。

ほの暗い大聖堂内部に足を踏み入れると、そこは静寂に包まれた神聖な空間。「ヴォールト」と呼ばれるアーチ式天井が、重厚な雰囲気を醸し出しています。

そこに入れ代わり立ち代わりやってくるのが、地元の人々。この大聖堂は観光スポットであると同時に、カトリック教徒が礼拝に訪れる現役の祈りの場でもあるのです。

この大聖堂で神聖ローマ帝国の戴冠式が行われていたのは、1562~1792年のこと。大聖堂は神聖ローマ帝国の歴史上最も重要な建造物のひとつであり、国家統一のシンボルとして、その価値は計り知れないものでした。

内部でひときわ存在感を放っているのは、ドイツで7番目に大きいというパイプオルガン。毎月第1土曜日には無料でパイプオルガンの生演奏を聴くことができるので、その日にフランクフルトに滞在するなら、荘厳な調べに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

大聖堂内部に展示されている美術品のうち特に重要なものは、左の翼廊にあるヴァン・ダイクの絵画「キリストへの哀悼」。絶命したキリストを家族や弟子たちが取り囲んでいる場面を描いた名作です。一見あまり目立たない小さな作品なので、見逃さないようご注意を。

また、高さ95メートルの大聖堂の塔は、フランクフルト市街のパノラマが堪能できるスポットとして知られています。

帝国自由都市として繁栄した中世、焼け野原から再スタートを切った戦後、そして国際金融都市として躍動を続ける現在・・・新旧をあわせ持つフランクフルトの町並みは、そんな波乱万丈の歴史を象徴しているかのようです。

1000年以上にわたるフランクフルトの歩みを見守ってきた「皇帝の大聖堂」で、この町の壮大なる歴史に触れてみませんか。

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