ミジンコから絶滅種まで、あらゆる動物標本を集めた、奇妙で貴重なロンドンのグラント動物学ミュージアム

世界最高峰の博物館「大英博物館(The British Museum)」をはじめとし、大小様々なミュージアムが無数に存在するロンドン。

2016年の世界でもっとも入場者数の多いミュージアム・トップ20のうち、ロンドンのミュージアム4館がランクインし、ワシントンDCに並びその数で世界トップの座に輝きました。

そんな世界のミュージアムの中心地とも言えるロンドンには、日本人旅行者にまだあまり知られていないユニークなミュージアムが数多く存在します。

イギリス北部へのターミナル駅である「ユーストン(Euston)」ならびに「キングス・クロス(King’s Cross)」駅一帯からテムズ河にかけてのエリアは、「ミュージアム・マイル(Museum Mile)と呼ばれ、大小13の見応えのあるミュージアムがひしめいており、なんとそのうち8館が入場無料。

今回はその中からロンドン大学を構成するカレッジのひとつである「ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London – UCL)」に所属する動物学に焦点をあてた「グラント動物学ミュージアム(Grant Museum of Zoology)」をご紹介しましょう。

このミュージアムはUCLの建物の一角にあり、国際色豊かな学生たちが行き交う、ユニバーシティ・ストリートに位置しています。

重厚な雰囲気の建物に入ると、左手すぐにミュージアムの入り口があります。

UCLで教鞭をとった比較解剖学者のロバート・エドモンド・グラントにより、1827年に教材用の標本などを収集・保管する場として創設されたこのミュージアムは、主にUCLの研究者や学生を対象にした施設でしたが、1996年から無料で一般公開されるようになりました。

微生物から象などの大型動物や絶滅種まで、68000ものありとあらゆる動物の標本や骨、化石などを保存していますが、こぢんまりとしたミュージアムで展示公開されているのはそのうちわずか5パーセントほど。

わずか5パーセントとはいえ、館内の壁やディスプレイを埋め尽くす骨格や標本は圧巻です。

それでは数ある展示物の中から、訪問者に人気の展示物の一部をご紹介しましょう。

・モグラのジャー(Jar of Moles)
入り口を入るとすぐ目に飛び込んでくるのが、このミュージアムで最も人気のある展示物のひとつであるモグラの薬液漬けです。

ガラス製のジャーと保存用の薬液が貴重で高価だった頃、コスト削減のために18体のモグラをひとつのジャーに詰め込んで保存する必要があった、またはモグラを利用した解剖の授業で生徒数分のモグラをひとつのジャーにまとめて保存していた、と説明されています。

受け付けではプラスチック製のジャーに入れられたモグラのぬいぐるみが売られていました。

・脳のコレクション(The Brain Collection)

モグラのジャーのお隣にあるのは、哺乳動物と爬虫類の脳を並べた脳のコレクション。

人間、子虎、ウサギ、サル、カメなどの脳がアルコールの中に糸でつるされています。

・巨鹿の頭部(Giant Deer)

7千年~40万年前にシベリアからアイルランドにかけて生息してたとされる大型の鹿。身長2メートルの体に、最大幅3.6メートル、45キロもの重さの角を持っていた巨鹿の迫力ある標本です。

・宝石のように美しい細胞分裂のモデル

ワックスで再現された細胞分裂のオブジェは、宝石店のディスプレイを見ているよう。

・絶滅したクアッガの骨格標本(Quagga Skeleton)

南アフリカに生息していたシマウマの仲間であるクアッガは、背の上部から頭にかけてのみシマ模様があり、腹部と四肢は白い毛で覆われていました。
ヨーロッパ人による狩りでその数が激減し、1883年に最後の1頭がオランダのアムステルダム動物園で息絶え、絶滅しました。

絶滅した動物の標本を見ていると、かつては地上で生き生きと暮らしていたこれらの動物が、地球上から一切姿を消してしまったという事実に、改めて悲しみを覚えます。
クアッガのフィギュアの右側にあるのは、同じく絶滅した鳥「ドードー(Dodo)」の骨です。

・アフリカニシキヘビの骨格標本(African Rock Python)

ジェットコースターのようにクネクネとうねった見事な状態の標本です。

・ハリセンボン(Porcupine Fish)

愛嬌のある顔をしたふぐたち。

・バルコニーから見下ろすスケルトンたち

ふと上を見上げると、階下の人間を見下ろすように並べられたスケルトンたちが。
建物の構造をうまく利用し、ヤギ、オラウータン、チンパンジー、人間、ゴリラ、ロバ、テナガザルのスケルトンが巧妙にディスプレイされています。

・マイクラリウム(The Micrarium)

バックライトに照らし出されたスライドガラスが壁一面に広がる微生物展示スペース。
電話ボックスほどの広さながら、天井に設置された鏡の効果で、頭上に永遠に続いているように見える摩訶不思議な空間。

生物の95パーセントが人間の親指以下の大きさであるにもかかわらず、より大きな展示物に焦点を当てがちなミュージアムが多い中、その95パーセントの小さな生物に焦点を当てたユニークな展示室。

無数のスライドの中に2323もの生物が展示されています。

一歩中に足を踏み入れると、微生物に取り囲まれた幻想世界にいるような、不思議な気分になってきます。
セルフィーの撮影場所としても人気です。

さらっと見てまわるだけなら20分もかからないほどの小さなミュージアムですが、思わずじっくりと見入ってしまい、時間が経つのも忘れてしまうほど。

大英博物館からは徒歩15分ほどと立地もよく、周辺には学生向けながら誰でも利用できる、相場の半額程のコーヒーや軽食を提供する割安のカフェなどもあります。

ロンドンを訪れた際は、話のネタにこんな風変わりな博物館にも、是非足を運んでみてください。

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名前 グラント動物学ミュージアム
住所 Rockefeller Building, University College London,
21 University Street, London WC1E 6DE
開館時間 月~土、13時~17時 ※日休
入場無料
公式HP https://www.ucl.ac.uk/culture/grant-museum-zoology