【世界の市場】モロッコの首都、カオスな熱気あふれるラバトのメディナはお土産探しもできる穴場

モロッコと聞けば真っ先にカサブランカを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、カサブランカはモロッコの商業の中心。行政の中心である首都は、カサブランカの北東85キロに位置する港町・ラバトです。

あまり知られていませんが、実はラバトは世界遺産の町。整然とした新市街と混沌としたメディナ(旧市街)という正反対の表情をあわせ持つ町並みは、「ラバト:近代都市と歴史的都市が共存する首都」として文化遺産に登録されています。

近代的に整えられた新市街から、メディナに一歩足を踏み入れると、庶民の熱気と数百年も時をさかのぼったかのような風景に驚かされる。それこそが、ラバトの魅力なのです。

12世紀に築かれたムワッヒド朝の塁壁と、17世紀に建てられたアンダルシアの塁壁に囲まれ、町の中心部にどっしりとたたずむメディナ。

城門をくぐってメディナの中に入ると、一気に中世そのままのような風景のなかに取り込まれます。整然としてトラムも走る新市街とは、文字通りの別世界。

サトウキビやフルーツのジュース、モロッコ風クレープ、ケバブやナスのフライなど、バラエティ豊かな屋台がメディナにやってきた人々を待ち構えています。

野菜や果物を売る露店も立ち、濃厚な庶民の生活臭が漂ってきます。

マラケシュのメディナやフェズのメディナなど、モロッコのメディナのなかには随分と観光地化が進んでいるメディナもありますが、ラバトのメディナを行きかう人々のほとんどが地元の人々。そのため、モロッコの都市に暮らす庶民の日常が垣間見えるのがラバトのメディナの醍醐味です。

マラケシュやフェズのメディナに比べると、こぢんまりとしているうえ、目印となるメインストリートがあるので歩きやすく、迷う心配もあまりありません。

ここで最も賑やかな通りが、メディナを東西に貫くスイカ通り。通り一帯がスーク(市場)になっていて、食品や日用品、衣料品などのお店がぎっしりと並んでいます。

地元の人の割合が多いだけあって、新市街からメディナへのメインの出入り口に近いスイカ通りの西側に軒を連ねるのが、地元の人向けのお店。

靴にサングラス、スカーフに下着にカフタン、化粧品に香辛料・・・人々の日常生活に必要なものが一堂に会した光景は圧巻です。

衣料品店の隣に肉屋があり、さらにその目の前では路上で下着が売られていたり、ふと足元を見ればカメが売られていたりと、ありとあらゆるモノがごちゃ混ぜになった通りはまさにカオス。

その一方で、東に進んでいくにつれて、しだいにお土産向きの品物が増えていきます。日用品のお店が並ぶエリアでは、ミントティーのポットやトレーがずらり。

同じような品物を売るお店がいくつも並んでいて、定価表示の店もあるので、いくつかのお店をのぞいて相場や品揃えをチェックしてから購入するといいでしょう。筆者は小ぶりのティーポットを50ディルハムで入手しました。

さらに東へと進んでいくと、革のサンダルやバブーシュ、陶器など観光客向けのお店が増えてきます。

お土産探しにおすすめなのが、メディナの東を南北に走るコンスル通り。ここには、ショールやクッションカバーなどのテキスタイルや木工製品、ランプ、絨毯など、色とりどりのモロッコ雑貨が並びます。

マラケシュなどのスークに比べると、ずいぶんのんびりした雰囲気でしつこい客引きや面倒な声掛けなどはほとんどありません。

価格はほとんどのお店で交渉制となりますが、さぼど観光客ずれしていないからか、はじめから比較的良心的な価格を提示してくれる売り手が多く、ラバトのメディナはモロッコスーク初心者にもおすすめです。

せっかくメディナにやってきたなら、人通りの多いメインストリートだけでなく、奥まったところにある狭い路地も散策してみましょう。

さっきまでの喧騒が嘘のように静かで人通りの少ない通りを歩けば、時間が止まってしまったかのような不思議な感覚が味わえるはずです。

モロッコの庶民の暮らしをのぞきつつ、お土産ハンティングや町歩きの楽しみも味わえるラバトのメディナ。1~2時間で周れる規模もちょうどよく、観光地化されすぎていない穴場のメディナといえるでしょう。

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