圧倒的な存在感!チェコ世界遺産の街クトナー・ホラの象徴「聖バルバラ教会」

チェコの首都プラハから東へおよそ65キロ、中部ボヘミアにクトナー・ホラの街はあります。

現在はのどかな風情を見せる小都市ですが、かつてはプラハに次ぐほどの繁栄を誇った中世ヨーロッパの主要都市。13世紀後半に銀鉱脈が発見されたのを機に発展、14世紀には王立造幣局が創設され、「ボヘミア王国の財宝庫」と呼ばれるほどの栄華を極めました。

しかし16世紀以降、銀の枯渇とともに街は衰退。往時の華やかさを失っても、かつての繁栄を物語る遺産が点在する街並みは、世界遺産に登録されています。

世界遺産の街クトナー・ホラを代表する建造物が、小高い丘の上に建つ聖バルバラ教会。後期ゴシック建築を代表する建造物のひとつで、眼前に迫るその大きさは圧巻。

「フライングバットレス」と呼ばれるアーチ構造が特徴的で、精巧な装飾が施された無数の尖塔に目を奪われます。

正面から見たときと裏から見たときとでは、まったく違う建物に見えるほど変化に富んだ表情も見どころ。不思議な魅力をもつ外観に、思わず引き込まれます。

教会の名の由来になった「聖バルバラ」は鉱員の守護聖人。教会の建設費用は、カトリック教会ではなく、市民の寄付によって賄われました。まさに鉱員による鉱員のための教会。鉱山の街、クトナー・ホラならではのエピソードです。

建設が始まった1388年当初の設計者は、プラハの聖ヴィート大聖堂の設計者として知られるペトル・パルレーシュの息子、ヤン・パルレーシュ。

1420年、フス戦争により教会の建設は一時中断。それから60年を経て、プラハの火薬塔を設計したマティアーシュ・レイセクによって設計が再開されます。

さらに、ベネディクト・レイトなどの高名な建築家の力を得て、1558年に一旦の完成を見ました。17~18世紀、クトナー・ホラの街並みがゴシックからバロック様式に改築された際、聖バルバラ教会もその影響を受けています。

幅40メートル、奥行き70メートルという壮大な空間のなかには、芸術作品がずらり。

中心部から天井を見上げると、1540年代につくられた曲線づかいが美しいリブが目に入ります。

描かれているのは同業組合と市民の紋章。市民の寄付で建設費が賄われた聖バルバラ教会の特色がここにも表れていますね。

鮮やかな色彩が目を引く彩色窓はモザイクではなく、ガラスに色塗りが施されたものです。外からの光に照らされ、教会内を幻想的に染め上げます。

片手にランタン、もう一方の手に採掘道具を持った鉱員の像は1700年ごろにつくられたもの。

クトナー・ホラの鉱員たちは一日10~14時間、週6日働いていたそうです。体力的にきつく、危険も伴うとあっては、彼らが神の加護を求めたのも当然といえるでしょう。

教会の南側にあるのが、硬貨鋳造の間。プラハで使用されていた硬貨を鍛造する職人たちの作業場面の下には、キリスト受難の3場面が描かれています。

鉱山の街ならではの内装を見ていると、当時の人々の様子が垣間見えるような気がして、どこか親しみが湧いてきます。

荘厳でありながら、人間味の感じられる空間は、この街に暮らしてきた人々の想いが息づいているからなのかもしれません。

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