「台湾のベニス」淡水のシンボル、ノスタルジックな紅毛城に行ってみよう

「台湾のベニス」とも称される台北近郊の街・淡水(たんすい)。

夕陽の名所として名高く、台北中心部からMRT一本でアクセスできることから、台北からの日帰り旅行先として人気があります。

淡水河の河口に位置する淡水は、かつて貿易港として栄えた歴史ある街。古い街並みと水辺の美しさから、現在はデートスポットとして高い人気を誇っています。

そんな淡水のシンボルが「紅毛城」。1629年にスペイン人の手によって「サン・ドミンゴ城」として建設されたのが、その歴史のはじまりです。

1642年にはスペイン人を駆逐したオランダによる統治が始まり、オランダ人はサン・ドミンゴ城跡にさらに強固な城砦を築きました。

城の名前である「紅毛」とはオランダ人のこと。当時の台湾の人々は、オランダ人を「紅毛」と呼んでいたため、「オランダ人の城」という意味で「紅毛城」と称されるようになったのです。

オランダによる統治が終焉を迎え、明の時代に入ると、淡水は流刑地となり、紅毛城は一時廃墟と化します。清時代末期、イギリスやフランスとの戦いに敗れ、北京条約により淡水が開港すると、イギリスが紅毛城に英国領事館を置き、領事館邸が増築されて現在の姿となりました。

この時に、もともと灰色だった紅毛城は赤色に染められました。背景を知らなければ、「紅毛城」という名前はその色にちなんだものかと思いますが、もともと建物の色とは関係のない呼称なのです。

その後日本統治時代を経て、第二次世界大戦後には、オーストラリア、アメリカへと所有権が移り、1980年になってやっと台湾のものとなりました。次々とその持ち主が入れ替わった紅毛城は、400年にわたる激動の歴史の証人なのです。

淡水駅から紅毛城までは徒歩でおよそ20分。屋台がひしめく淡水老街を冷やかしながら歩けば、それほど遠くは感じません。天気のいい日なら川沿いを歩くのもおすすめです。

川沿いの遊歩道が途切れるところで坂をのぼると、紅毛城の入口が。ゆったりとした敷地には緑があふれ、赤レンガの建物と鮮やかな緑のコントラストが印象的です。

紅毛城の足元には、これまでに紅毛城にかかわった国々の国旗がはためいています。この城がいかに数奇な運命をたどってきたのかを改めて認識させられますね。

城内は歴史博物館のようになっていて、淡水と紅毛城が歩んできた歴史を知ることができます。

紅毛城の奧、芝生の隣にはイギリスが増築した領事館邸があります。

アーチが美しいノスタルジックな回廊は、絶好のフォトスポット。多くの観光客がここでロマンティックな写真を撮っていきます。

館内は、英国調の家具や調度品で整えられ、ヨーロッパの邸宅に迷い込んだかのよう。台湾でヨーロッパ文化の残り香を感じるとは、新鮮な体験です。

紅毛城は街の高台に位置しているため、対岸の観音山や淡水河とその先の台湾海峡まで一望することができます。

筆者が訪れたときはあいにくの曇り空でしたが、天気が良ければ最高の夕陽鑑賞スポットに。可能な限り天気の良い日を選んで出かけましょう。

異国情緒あふれる淡水を象徴する紅毛城と領事館邸。あなたもこのドラマティックな時代の証人に、会いに行きませんか。

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「紅毛城」
住所:新北市淡水区中正路28巷1号
電話:+886-2-2623-1001
開館時間:9:30~17:00(土日~18:00、4~10月は22:00まで庭園開放)