世界遺産も!意外に知らない、あの音楽隊が憧れたドイツのブレーメンってどんな街?

「ブレーメンの音楽隊を知っている?」と聞かれれば、ほとんどの人が「知っている」あるいは「聞いたことがある」と答えるでしょう。

「ブレーメンの音楽隊」はグリム童話の一編で、人間に虐げられたロバ、イヌ、ネコ、ニワトリがブレーメンに行って音楽隊になろうと考え、力を合わせて新しい生活を切り拓いていく物語。

ところが、この物語の知名度とは裏腹に、ブレーメンの街について具体的に知っている人はあまりいないのでしょうか。かくいう筆者も、ドイツで暮らすようになるまで、ブレーメンの街について具体的な印象や知識は持ち合わせていませんでした。

ドイツに行ったことがない人でも、その名前を知っていながら、実際のところどんな場所なのかはあまり知られていない、ブレーメンの街。いったいどんなところなのか見てみましょう。

メルヘン街道の終着点であるブレーメンは、14世紀にハンザ同盟に加盟し、交易都市として繁栄しました。中世の自由ハンザ都市の称号は今日まで受け継がれており、現在もブレーメン州の正式名称は「自由ハンザ都市ブレーメン」なのです。

・市庁舎

観光の対象となる見どころが集中するのは、旧市街。その中心がマルクト広場です。マルクト広場周辺には、石造りやレンガ造りの歴史的建造物が並んでいて、北ドイツらしい重厚な街並みが広がっています。

なかでも目を引くのが、1405年から1410年にかけて建てられた市庁舎。北ドイツで最も重要な建築物のひとつであり、ドイツでも有数の美しさを誇るこの市庁舎は、世界遺産に登録されています。

全体としてはゴシック様式の建物ですが、マルクト広場に面した正面部分は、200年後に北ドイツ特有のヴェーザー・ルネッサンス様式で増築されたもの。

2つの建築様式が見事に融合したその姿は、当時のブレーメンの隆盛ぶりを余すところなく今に伝えています。マルクト広場から見上げるファサードの壮麗さは圧巻。

外観のみならず、内部も豪華絢爛で、とりわけ宮殿を思わせるほどに華麗な大議会場は必見です。ぜひ市庁舎のガイドツアーに参加して、その美しさを確かめてみてください。

・ローラント像

市庁舎と合わせて世界遺産に登録されているのが、市庁舎の向かいに立つローラント像。台座と天蓋を合わせるとその高さは10メートルを超え、中世に造られたものとしてはドイツ最大の自立式彫像です。

ローラント像が街に立つ限りブレーメンは自由都市でいられるといわれ、ブレーメンの自由と平和の象徴として大切にされています。もしここに立っている像が破壊されたとしても、もう一体ストックがあるのだそう。それほど、この像はブレーメンの街にとって欠かせない存在だということですね。

・聖ペトリ大聖堂

マルクト広場に面して建つ聖ペトリ大聖堂は、ブレーメンを代表する教会。1024年に建設が開始され、たび重なる改築や修復を経て現在に至っています。

天に向かって真っすぐに伸びる2本の塔は、自由都市ブレーメンの誇りを象徴しているかのよう。近づいて見ると、きらびやかなモザイクや、精巧な彫刻で装飾されたファサードの美しさに目を奪われます。

外観は男性的な力強さを感じさせる聖ペトリ大聖堂ですが、内装は意外に色鮮やかで華やか。塔の上からは、ブレーメン市街が一望できます。

・ブレーメンの音楽隊像

ブレーメンに来たらこれを見ずには帰れない、ブレーメンの音楽隊像は、意外に目立たない市庁舎の西側の壁際ににたたずんでいます。

「ブレーメンの音楽隊」という題名から、ブレーメンは「ブレーメンの音楽隊」の舞台であると思われがちですが、音楽隊はブレーメンに憧れながらも結局この地にたどり着くことはありませんでした。しかし、題名にブレーメンの街の名を冠していることから、音楽隊の像が設置されることとなったのです。

ロバの前脚を両手で触りながら願いごとをすると、願いが叶うといわれていて、ロバの前脚はピカピカに輝いています。

・ベットヒャー通り

ブレーメンで人気ナンバーワンの観光ストリートが、マルクト広場のすぐそばにあるベットヒャー通り。コーヒー商人のロゼリウスが中世の街並みを再現しようと私財を投じて造らせた通りで、わずか100メートルほどの小路に、ショップやアトリエ、美術館、劇場、バーなどがひしめいています。

30個のマイセン磁器でできた鐘の音に合わせて板絵が現れるグロッケンシュピール(仕掛け時計)や、ドイツ表現主義を代表する女流画家、パウラ・モーダーゾーン・ベッカーの美術館といった重要な見どころもあることから、「ブレーメンの秘密のメインストリート」とも呼ばれています。

まるごと博物館のようなこの通りでは、レンガ造りの美しい建物のあいだを歩きながら、小さなショップをのぞくだけでも特別な時間になるはずです。

・シュノーア地区

パステルカラーの可愛らしい建物が連なるロマンティックなエリアが、ブレーメン最古の住宅街・シュノーア地区。15~19世紀に建てられた歴史ある家々が100軒ほど並んでいます。もともとは富裕層が暮らす地区でしたが、しだいに手工芸職人の居住区となって今に至るため、「ブレーメンの職人街」とも呼ばれています。

入り組んだ狭い路地を散策していると、絵本の世界に迷い込んだような気分になれますよ。

自由ハンザ都市としての誇りを大切にしてきたからか、ブレーメンの街を歩いていると、どこか自由闊達な気風を感じます。

世界遺産の歴史的建造物から中世の通り、ロマンチックな街並みまで、音楽隊が憧れたブレーメンは、たくさんの魅力が詰まった街なのです。

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