ニューヨーク・マンハッタンの都市公園がリニューアルしたので行ってみた
|ニューヨークではセントラルパークを筆頭に魅力的な公園が多数存在します。今日はその中でも特にドラマティックな成功を遂げている、ブライアントパークをご紹介。
マンハッタンのど真ん中、ちょうどタイムズスクエアとグランドセントラルステーションの中間あたりに位置します。公園周辺には企業のオフィス、図書館、国際写真ミュージアムなど。日本の紀伊国屋書店ニューヨーク支店もこちらにあります。
ここのすごいのは、公園なのに、いや、公園だからこその、誰もが楽しめる機能が満載なこと。芝生広場はもちろん、Free-WiFi, 卓球場、チェス、ライブラリ、ピアノ、動かせるベンチなど、無料で使える道具が充実。
また、公園併設のカフェやレストランも本格的な味と空間を提供し、名所化しています。
更に、この公園ではユニークなイベントを絶えず開催。マーケット、ブロードウェイの出張パフォーマンス、コンサート、ヨガクラス、スケート、パブリックビューイング、詩の朗読会、企業の新製品発表会まで多岐にわたります。
市民発のチェス、太極拳、編み物の講習会なんてのも開かれます。
今の季節は、ちょうどフィルムフェスティバルが名物。無料なため、沢山の人が集まります。
実際に行ってみると、広い緑のスペースで、さんさんと光を浴びながら、みんなのびのびと過ごしています。
ヨガ、休憩、寝転んでネットサーフィン、ゲーム……。観光客からオシャレなニューヨーカー、あまりお金持ちではなさそうな高齢者まで、それぞれが自由に、とても豊かな時間を過ごしているように見えます。
そして、朝から晩まで、休日も平日も、常に人が耐えません。冬だって、ストーブを設置して、利用者が凍えないよう配慮。
にぎわいの耐えない公園ですが、かつてはneedle park (ニードルパーク):麻薬常習犯がいる所、と呼ばれるほど、ドラッグディーラーの売買、売春、ホームレスの場として、薄暗く、一般市民が利用できないような場となっていました。
当時は鉄格子と高い木で囲われ、周りから孤立し、かつ歩道レベルとも1.2mの差があり、人目に届きませんでした。この建築的な要素が、更に治安の悪い取引を助長させ、一般市民を遠ざけさせたようです。
この状態に対処すべく、1980年にロックフェラーを中心に再生組織を形成。その後、さらにその後都市計画か、社会学者などの意見を取り入れ、1988年から4年間は公園を閉鎖し、大規模にリニューアル。
地面を掘り下げて生け垣は撤去し、道路からの見通しの良いエントランス、遊歩道を整備。人気のカフェテナントを呼び込み、2002年にはニューヨークで始めて公衆無線LANを導入。その後も、本棚や卓球台など、様々な人が使いやすい工夫、楽しめる仕掛けを導入し、今ではすっかり人気の公園となりました。
運営スタッフは20名ほどと少ないですが、専門性の高い人材により、公園の維持管理やイベント企画を実施しています。
年間予算は約260万ドルとされていて、その大部分を寄付でまかなっているそう。寄付の習慣が普及しているアメリカでは、特に質の高い公共施設の維持に関して、資金が集まりやすいようです。
また、公園で使用する照明器具の一部は周辺のビルに設置し、設置費用や電気代をビル負担にさせて、経費を削減しているという取組みも非常にスマート。
自分の家の近くにほしい!と心から思える公園です。
By Shoko
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