【旅コラム】宇都宮徹壱の『そこにフットボールがあるから』第3回「ヴロツワフ(ポーランド)」

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 10月14日、日本代表がブラジル代表とシンガポールで親善試合を行う。

 なぜシンガポールで試合なのかというと、ちょうどこの時期ブラジルは東南アジアツアー(要するに興行)をしており、「日本には行けないけれどシンガポールあたりに来てくれたら試合してもいいよ」ということで、今回のマッチメークと相成った。

 何だか上から目線のような感じがしないでもないが、日本とブラジルが第三国で試合をするのは今回が初めてではない。2年前の2012年には、ポーランドのヴロツワフでも日伯戦が行われている。

 ヴロツワフはポーランド西部に位置する国内第4の都市であり、かつ国内で最も古い歴史を誇る。西暦1000年には、カトリック教区が設置され、これがヴロツワフ建設の年とされている。その後、ハプスブルク家、プロイセン王国、さらに後継のドイツの支配下に置かれ、ようやくポーランドに復帰したのは第2次世界大戦終了直後のこと。しかし、ドイツ軍とソ連軍による激しい戦闘により、歴史的建造物の大半は破壊された状態だったという。現在の景観は、市民の地道な修復作業によって蘇ったものだ。

 旅の中心となるのは旧市街。さまざまなパステルカラーに彩られた後期ゴシック様式の建築は、どこから眺めても実にフォトジェニックだ。観光地ゆえに英語はよく通じるし、人々も実に親切で温かい。

 ポーランド料理というと、豚足を使ったシチューやグリル(ゴロンカ)が有名だが、当地では寿司バーに入った。味はまずまず、食べて飲んで1人5000円くらいだった。寿司を握っていた金髪の若者は、ポーランド人の師匠から手ほどきを受けたのだという。今やSUSHIはすっかりメジャーな料理となり、さまざまな亜種と出会うこともあるが、当地の寿司は極めてオーソドック。ぜひお試しあれ。

 さて2年前のブラジル戦は、EURO2012の会場のひとつ、ヴロツワフ市民競技場で行われた。結果は0-4。日本は、その3日前に行われたフランス戦では守備的な戦いで1-0で勝利したが、このブラジル戦では一転して攻撃的な戦いを挑み、ものの見事に粉砕されてしまった。攻撃的なスタイルを突き詰めると大量失点を喫するという、ザッケローニJAPANの特徴は、思えばこの時すでに明確に表れていた。

 アギーレ新体制となった日本は、シンガポールでどんなサッカーを披露するのであろうか。

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