合掌造りの里をめぐり、自然と寄り添う暮らし方について考えてみよう

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20年前の1995年、岐阜県と富山県との県境周辺の自然溢れる山奥深い場所にある集落群が、世界文化遺産に登録されました。

合掌造りと呼ばれる家屋(かおく)の建築様式・景観の素晴らしさ、また昔から受け継がれたこの地域独特の文化が今も村落に存続していることなどが評価されて、世界文化遺産に登録されたそうです。これが「白川郷・五箇山の合掌造り集落」です。

今月発表されたニュースによると、この集落群の中でも大きな白川郷の荻町集落を抱える白川村には、昨年外国人観光客21万人強を含む約150万人の観光客がやってきたそうです。

世界遺産としての推薦を受ける前には、年間を通じて観光客が50万人弱であること、また集落群へのアクセスがそう簡単ではないことを考えると、この躍進ぶりには目を見張るものがあります。

何故増加しているのでしょうか?メディアでは、観光庁の事業なども含め、海外向け含めプロモーションを積極的に展開していることが1つ理由として挙げられていることがあります。

しかし、実際にはプロモーションのみならず、この集落群そのものが持つ強い魅力があってこそ、なのかもしれません。

まず1つ目の魅力は、合掌造りの家屋です。例えば、20世紀初めに日本を訪れたドイツの建築学者であるブルーノ・タウト氏は、『合掌造り家屋は、建築学上合理的であり、かつ論理的である』と著書の中で絶賛しました。

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「建築学上合理的」である理由は、この地域は山に囲まれた豪雪地帯であり、沢山の積雪から家を守るべく、屋根は合掌の手の形のように急勾配のついた形となっていることが挙げられます。また、屋根下の空間を区切り、作業場などとして有効に利用できるようになっています。

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次なる魅力は、この場所に訪れる厳しい冬と共存してきた人々の暮らしぶりにあります。冬になると道は雪で閉ざされてしまい、文字通り「陸の孤島」になってしまう場合もあります。

そのため、ここに住む人々は、村落の中で自給自足ができ、仕事ができる状態を保ってきました。

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また自活するために、養蚕などの家内工業が発達しており、屋根下にその作業場が用意されています。

ついつい写真で見るような、日本の良き昔を思い起こすような家屋や景観などの外観に目が向きがちですが、内部に入れば入るほど、歴史に裏打ちされた人間の叡智(えいち)そのものが育んだ、その力強さを感じることができます。

さらに、この「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の中には、白川郷の荻町集落、五箇山の相倉集落、菅沼の集落が含まれており、それぞれの村落には独自の成り立ちや特徴があります。

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厳しい自然に逆らわず、ある意味自立した村落であったこの集落群。ある意味で、今注目を浴びる「サステイナブル」の先駆者だったのかもしれません。

これからの在り方・生き方を考えるヒントも得られるかも?ということで、一度是非この集落を楽しく深堀してみてはいかがでしょうか!

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