「ドラキュラ伯爵」が漂着した港町、イギリスのウィットビーに行ってみよう
|イングランド北東部に位置し、北海に面してたつ崖に囲まれた美しい港町ウィットビー。
現在人口は1万3千名ほどですが、小さいと侮るなかれ!実は世界的に有名な人たちに関係する重要な町です。
まずは、ヨーロッパ人の中で初めてオーストラリアに到達し、ハワイ島を発見した海洋探検家キャプテン・クック。
ウィットビーに近い町にある商店で丁稚奉公中に、海に出よう!と決意。知人を介して、ウィットビーの大船主に紹介をされ、船乗りとしてのキャリアを切り開いていきます。
このような経緯もあり、ウィットビーには、キャプテン・クック時代の船のレプリカ、キャプテン・クックの銅像や博物館もあり、イギリスの大航海時代の様子を垣間見ることができます。
そしてもう一人、ウィットビーにまつわる有名人が「ドラキュラ伯爵」です。
19世紀末、アイルランド人作家であるブラム・ストーカーは、ウィットビー滞在中に、北海に面した崖にそびえたつ壮大なゴシック式建築のウィットビー・アビー(修道院)跡、隣接するセント・メリー教会や墓地から、作品についてのひらめきを得ました。
そして生み出されたのが、世界的に有名で、幾度となく映画化をされたあの小説「ドラキュラ」です。
このようなホラー小説を書こうとブラム・ストーカーをかきたてたウィットビー・アビーとは、どのような建物なのでしょうか?
この修道院の起源は、かなり時代を遡ります。
アングロサクソン人の王国の1つ、ノーサンブリアの王様により、657年にこの修道院の原型となる建物が建てられました。そして現在も一部残っている建造物は、13世紀-15世紀にかけて建築されたものとされています。
その後16世紀半ば、時のイングランド王ヘンリー8世がローマカトリック教会と対立し、イギリス中の修道院に対して解散を命じたことに伴い、ウィットビー・アビーも閉鎖。更に時の流れと共に、北海から吹き付ける嵐などにより自然破壊が進みます。
そして最後の大きな打撃となったのが、第一次大戦中のドイツ軍による爆撃。これにより、決定的に廃墟となってしまいました。
ただ廃墟となれども、気品ある美しさを保つこのウィットビー・アビー。現在は、英国政府が歴史的建造物を保護するために運営する組織であるイングリッシュ・ヘリテッジにより、保護対象となる400ものイギリスの歴史的建造物の1つとして指定されています。
ちなみに、この世界的な小説「ドラキュラ」を生み出すきかっけとなったウィットビー。しっかりと小説の中でも、「ドラキュラ伯爵」が北海を漂った後に流れ着いた場所として登場します。
小さい町ながらも、北海と崖の間に家々が綺麗に立ち並ぶ光景や海岸沿いの景観も素晴らしく、キャプテン・クックやドラキュラ伯爵にまつわる場所など、見どころ満載なウィットビー。イギリスの旅行通にとっては、実は密かなお勧めスポットなのです。
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