町中が歴史の宝庫、イギリスのウィンチェスターを訪ねてみた

ロンドンから南西方面に約100㎞弱下った場所にある町、ウィンチェスター。現在は人口4万5千人ほどと小ぶりな町ではありますが、実はイングランドの歴史において、重要な役割を果たしてきた場所の1つです。

この町の歴史は非常に古く、古代ローマ時代の紀元前150年に遡ります。まずは軍事上の重要拠点として要塞が築かれ、古代ローマの属州であるブリタニアにおいての最大都市となりました。

その後、ローマの衰退と共に、町も一時勢いを失いますが、イングランド中南部がアングロサクソン人により征服された後、イングランド七王国の1つウェセックス王国の首都となります。

9世紀後半、アングロサクソン時代の最も権力をふるった王であるアルフレッド大王は、バイキングの侵攻を防ぐことを目的に、首都であるウィンチェスターの道路構造を再設計させました。今でも、町の構造自体や町の門などにおいて、当時の痕跡が残っています。

こうした背景から、ウィンチェスターの町には、イギリスが誇るアルフレッド大王の像が立ち、またウィンチェスター城跡の1つであるグレートホールには彼が実際に使用したとされる円卓が飾られています。

さてウィンチェスターは、宗教においても重要な位置づけを担ってきました。まず642年に教会(オールド・ミンスター)が建築されました。

このオールド・ミンスターはアングロサクソン時代、重要な王家に関わる教会となり、アルフレッド大王を含めて、歴代の何名かの王様がここに埋葬されています。また幾度かの王家のメンバーの結婚式や戴冠式も、ここで執り行われました。

11世紀後半のノルマン人によるイングランド征服後には、これに加えてノルマン・ロマネスク様式の大聖堂建築が始まりました。

そして時を経て、増築やゴシック式建築をベースとした改築が行われ、16世紀までに現在見られるウィンチェスター大聖堂の大部分が完成しました。

今では、ノルマン様式の建造部分を持ちつつ、ヨーロッパで一番長い回廊、全長を持つゴシック様式の素晴らしい大聖堂となっています。

なおこの大聖堂が注目を浴びる要因が他にもあります。1つは、『高慢と偏見』や『エマ』など何度も映画化された文学作品を残したイギリスの女流作家ジェーン・オースティンが、この大聖堂の墓地に眠っていること。

もう1つは、有名な映画『ダ・ヴィンチ・コード』では、謎の解明に迫る場面の撮影がこの大聖堂の交差廊北側で行われたことです。ぜひこうした辺りにも着目して見てみると、更に楽しさが膨らむでしょう。

またウィンチェスターには、12世紀頃に建築され、17世紀後半まで司祭の宮殿として使われてきたノルマン様式のウルヴジー城があります。残念ながら、17世紀のイギリス内戦で攻撃を受け、現在は廃墟として残っている状態です。

ただ、イングランドの中世時代の大事な建造物であり、現在ではイングリッシュ・ヘリテッジの保護対象となっています。

イングランドの歴史の舞台に都度都度登場し、素晴らしい歴史的な建築物が町に散在するウィンチェスター。ぜひ一度ゆったりと散策しながら、探索してみてはいかがでしょうか?

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