酪農王国オランダの秘訣を探りに、牧場オープンデーに行ってみた。

ここ数年、日本でも紹介されることが多いオランダの「ハイテク農業」。九州程の小さな国土ながら、農産物世界三大輸出国の一角を占めるまでになったオランダの農業は、ハイテク化によって支えられており、ハイテク化は1つの成功の秘訣とも言われています。

農産物と並んでオランダにおいてとても盛んなのが畜産や酪農。

世界で誰もが知るゴーダチーズ・エダムチーズを生み出し、ヨーロッパ諸国には乳製品や肉類を多く輸出しています。実は畜産業でも、ハイテクや環境エネルギーの活用が、オランダの強さの秘訣と言われていす。

搾乳や餌やりなど全ての作業がほぼ人の手によって行われていた1960年代と比べ、今の「ハイテク」型畜産の時代では、15倍以上も生産効率が良くなったと言われています。

では一体どのようにテクノロジーを活用し、安定的に美味しい乳製品や肉類を世界の台所へと届けているのでしょうか?

この秘訣を探りに、とあるご家族が中心となって数十年経営され続けている牧場のオープンデーにお邪魔してみました。

このオープンデーは、1年に1回行われ、近隣の一般市民の方々に牧場を開放されています。

どのように牛が飼育され、乳製品が生産されていくかを見学できると共に、牧場敷地内に子供の遊び場も設置され、特に子供連れのご家族を中心に大人気のイベントです。

こちらの牧場の特徴は、牛を飼育して、搾乳をするばかりではない所にあります。

実は牛舎横に併設された工場において、採れたて新鮮な生乳を使って、牛乳、ヨーグルトなどを「自社ブランド」として生産・販売していることが大きな特徴です。

オランダにおいて畜産業は、オランダ国内の消費ではなく輸出のため様々な規制をクリアする必要があるため、普通に運営していてはコストも高く、とても大変な業種の1つです。

そのため、様々な輸出国のもつ規制をクリアするために、沢山の知恵と努力を重ねて成り立っています。その規制をクリアするために活用されているのが、酪農に先鋭化したテクノロジーなわけです。

まず牛舎には、ミルクを生産する母牛が約400頭います。毎日2度ほどの餌やり、搾乳、牛舎内のお掃除などの仕事が必要です。

400頭分の餌やりや搾乳、掃除を人間の手で行うとなると、かなり大掛かりな人数が必要である事が想像されます。

ところがよく見てみると、牛たちは自発的に搾乳機に歩いていきます。

そして牛がその場所の中に立ち止ると、機械が動き、牛のお乳からミルクを絞っていきます。そして絞り終わると、牛たちは自ら歩き、自分の場所へと帰っていきます。

更に牛舎の中を見てみると、定期的に牧草を仕分けたり、牛舎の中のお掃除をする機械が動いています。こうして人の手をあまり使うことなく、テクノロジーの力で酪農に関する仕事を効率的に進めているのです。

しかし牛舎、そして乳製品の生産工場と、様々な機械が動いているため、大量の電気が必要になります。

電気を使う環境も、コストも気にかかるところですが、どのようにまかなっているのでしょうか?

実は牧場では、2つの大きな電力源が活用されています。

1つは牛舎などの屋根に取り付けられたソーラーパネルより、太陽光を取り入れたエネルギー。

そしてもう1つは、牛の排泄物などを使って発電を行うバイオマス発電です。

こうして自然エネルギーを出来る限り取り入れることで、牧場全体のエネルギーの供給と需要をうまくコントロールしているのです。

このオープンデーでは、牛に触れ合うだけではなく、乳製品が実際にどのように作られるのか、お子さんにも分かる絵を展示しながら、工場内を見学することができます。

見学を終えた後には、牧場の広い敷地内に出るカフェで寛いだり、臨時公園で遊んだりすることもできます。

実際に赤ちゃん羊や乳牛に触れたり、酪農大国オランダの秘訣を見学したり、できたての乳製品を購入したり食べたりと、意義深い1日を過ごせる牧場のオープンデー。

ぜひいつか試しに訪れてみてはいかがでしょうか?

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