【世界遺産】ドイツ・ゴスラーの繁栄を支えたラメルスベルク鉱山の秘密

ドイツ、ニーダーザクセン州の都市ゴスラー。

ゴスラーの郊外に位置するラメルスベルク鉱山は、ゴスラーの旧市街と共に世界遺産に登録されています。

1000年以上も前からこの鉱山では採掘が行われ、ここで採掘される鉱物のうち特に銀はゴスラーの街を繁栄へと導きました。

鉱脈の枯渇により鉱山は1988年に閉ざされますが、その後は鉱山の歴史を後世に伝えるための博物館が設立されました。坑道の一部も整備され、ガイドツアーで見て回ることができます。

ガイドツアーでは200年前の坑道を徒歩で見学するコース、トロッコに乗り近代的な採掘の様子を見学するコース、そして鉱石処理の様子を見学するコースなどに分かれています。所要時間はどれも1時間ほどです。

その中から今回紹介するのは、トロッコに乗って坑道の中まで入っていき、近代的な採掘現場を見学するコースです。

ガイドツアーの集合場所の天井には作業服やヘルメットが吊るされています。これは汗などでびしょ濡れになった作業着が早く乾くよう、暑い空気がある天井に吊るしていたのです。また坑道での作業の際には、もし事故などが起きた際に早く見つけられるよう、明るい色のシャツが着用されていました。

そしていよいよトロッコに乗って坑道の中へ入っていきます。1つのトロッコは大人が5人収まるほどの大きさです。走っているときはだいぶ揺れ、灯りの無い区間ではトロッコの中も真っ暗になり少し怖いです。

地底500メートルの坑道の中はあちこちで水が上から滴り、足場も悪いです。気温も10度前後と低いので上着が必要です。

かつての採掘現場では、従業員は自分の担当現場に着くと、まずこの様に区間ごとに設置されている小さな部屋で朝食をとってから仕事に取りかかりました。机の上に灰皿がありますが、ラメルスベルクは石炭の鉱山ではなかったため喫煙も可能だったのです。

鉱物は有毒物質も含んでいたため、食事などの前には手を洗う事が徹底されていました。手を洗うための清潔な水は、そのためとても重要なものでした。

壁に穴をあける機械や爆薬の技術などの進歩は、坑道内での作業効率をかつてとは比べ物にならないほど向上させました。穴に爆薬の入った筒を入れて爆発させる際には、40メートル離れた曲がり角に隠れる必要がありました。また爆薬を点火する順序にも、壁をうまく壊すための決まった順番がありました。

鉱物を運搬する方法もしだいに改良され、より少ない力でより多くの鉱物を運搬することが可能になりました。そうとはいえ、ここでの作業の厳しさは、暗い坑道や機械などの様子から容易に想像ができます。

見学が一通り終わると、再びトロッコに乗って外へ出ます。

ラメルスベルクでの採掘はゴスラーに巨大な富をもたらしましたが、それと引き換えに鉱山では従業員たちが暗く危険な労働環境の元で作業に従事していました。

ガイドツアーでは、そんな命がけの採掘現場の雰囲気を実際に見て感じることができます。

銀で栄えたゴスラーで豪華に装飾された家々を見た後は、その銀を採掘するための過酷な現場を見てみるのも面白いのではないでしょうか。

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