セビーリャの世界遺産、イスラム芸術の粋を集めた壮大な宮殿・アルカサルに感動!

スペイン南部、アンダルシアの州都セビーリャは、スペイン有数の観光都市。

セビーリャで絶対に見逃せないスポットのひとつが、世界遺産にも登録されているアルカサルです。

アルカサルは、レコンキスタ後の14世紀、かつてのイスラム時代の城の跡地に、カスティーリャ王ペドロ1世が建設したムデハル様式の宮殿。

イスラム文化に心酔していたペドロ1世は、スペイン各地からイスラム職人を呼び寄せ、グラナダのアルハンブラ宮殿を彷彿とさせる壮大な宮殿を造らせました。さらには、自らイスラムの服装をまとい、宮中ではアラビア語を使用することを命じたのだとか。

その後、15世紀から16世紀にかけて、歴代の王により増改築が繰り返されたため、ゴシックやルネッサンスといったさまざまな建築様式が混在しています。

アルカサルの入口はライオンの門。「ヨーロッパの城」のイメージとはひと味違うエキゾチックなたたずまいに胸が高鳴ります。

広大なアルカサル内部の見どころは、おもにペドロ1世宮殿と庭園、ゴシック宮殿の3つに分かれています。

なかでもハイライトといえるのが、イスラム時代の城壁の向こうに見えるペドロ1世宮殿。精緻なイスラム装飾で覆われたファサードは格別の存在感を放っています。

ペドロ1世宮殿の内部は、泉のある「乙女の中庭」を中心に、執務室やペドロ1世の居室などが取り囲むようにして造られています。

アルカサルの心臓部ともいえる乙女の中庭は、ペドロ1世宮殿の公共スペースの中心でした。

2階建ての回廊に囲まれた空間は、アルハンブラ宮殿にそっくり。回廊の1階部分は14世紀のムデハル様式、2階が16世紀に増築されたルネサンス様式と、階によって異なる建築様式で建てられている点にも注目です。

ペドロ1世宮殿のなかでも豪華さに圧倒されるのが、政治や外交の場として使用された「大使の間」。

馬蹄形の三連アーチや漆喰細工、モザイクタイルなどによって床から天井まで、びっしりと装飾された空間はまばゆいばかり。

特に圧巻なのが、クーポラ部分に施された金色の木工細工。

ドーム型の天井は宇宙を表しているそうで、装飾の精巧さと美しさにすっかり魅了されてしまいます。

アンダルシア地方のイスラム建築といえばアルハンブラ宮殿が有名ですが、このアルカサルも負けてはいません。むしろ、彩色の鮮やかさでいえば、アルカサルが上をいっているのではないかと思うほど。

ペドロ1世宮殿のなかで、王族のプライベートな空間として使用されたのが人形の中庭。

天井の窓から光が差し込む瀟洒なパティオで、グラナダの職人によって造られました。大使の間に比べると控えめな印象を受けますが、柱廊のアーチに施された透かし彫りの細やかさに目を見張ります。

ペドロ1世宮殿は、16~17世紀にイタリア人建築家によって造られた広大な庭園へとつながっています。庭園には大小7つの池があり、観光客が集まっている最も見ごたえのある池が、マーキュリーの池。

マーキュリーの池に面しているイスラム時代の城壁は回廊になっていて、上にのぼって歩くことができます。ヤシの木や白いパビリオンが南国ムードを盛り上げ、ヨーロッパにいるとは思えないほどの異国情緒が楽しめますよ。

庭を散策したら、マーキュリーの池がある「ダンスの庭」に面したゴシック宮殿を見学しましょう。ゴシック宮殿の入口は少々わかりにくく、見落としがちなので要注意。

ゴシック宮殿はその名の通り、イスラム色が排除されたキリスト教様式の宮殿で、アルフォンソ10世によって建てられました。

巨大なタペストリーが掲げられたタペストリーの間や、見事なタイルで彩られたホールなどが見られ、イスラム風のペドロ1世宮殿とはまったく異なる趣が味わえます。

イスラムとキリスト教の建築美が融合したアルカサルは、セビーリャが歩んできたダイナミックな歴史を映し出す鏡のよう。

かつての王たちがこだわりぬいた空間は、今なお、時を超えてその美しさと壮大さで人々を魅了し続けているのです。

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