日本との意外な共通点とは?特別展「デンマーク王室と日本」に見る両国の深い関係

多くの日本人にとって、デンマークは遠い北欧の国というイメージでしょう。ところが、デンマークは一般に思われているよりも、日本と深い関係にあります。

実は、日本とデンマークには、とある共通点があるのです。それは、両国が世界最古の君主国であるということ。

デンマークの正式名称は「デンマーク王国」。デンマークは1000年以上の歴史を誇るヨーロッパ最古の君主国で、日本はその歴史を紀元前660年にさかのぼる世界最古の君主国です。

日本とデンマークの交流は、1867年に江戸幕府のもとで修好通商航海条約が結ばれたことからはじまります。

2004年5月には、皇太子殿下がデンマークのフレデリック王太子殿下の結婚式に出席され、2011年にはフレデリック王太子殿下が東日本大震災で被災した宮城県東松島市を訪問されるなど、日本の皇室とデンマークの王室は、近年ますます深い結びつきを見せています。

そして、2017年の今年は、日本とデンマークが外交を結んで150年となる記念すべき年。6月に皇太子殿下が「日デンマーク外交関係樹立150周年」名誉総裁としてデンマークをご訪問されたほか、両国でさまざまな交流行事が行われています。

その一環として、デンマークのコペンハーゲンで開催されているのが「デンマーク王室と日本」。

2017年6月17日から9月3日までのあいだ、現在も王族が暮らすアメリエンボー宮殿の博物館で見られる特別展示です。

デンマーク王室が所蔵する日本コレクションや、日本文化の影響を受けてデンマークで制作された工芸品などが紹介され、日本とデンマークの交流の歴史をたどる内容となっています。

1867年、日本とデンマークのあいだで締結された条約と、1870年に明治天皇がクリスチャン9世に宛てた親書。ここに、日本とデンマークの交流がはじまります。

しかし、デンマーク王はそれ以前から東方の異国・日本への関心を抱いていました。芸術と文化に情熱を傾けたルネッサンス期の王・クリスチャン4世は、17世紀はじめに日本との接触を図りますが、なにしろ当時の日本は鎖国の時代。

クリスチャン4世の試みは失敗に終わりますが、彼はオランダ商人を通じて漆塗りや陶磁器といった日本の品々を手に入れました。

蒔絵の飾り棚は、当時のヨーロッパ向けに金箔を施した木製の脚が取り付けられています。

1867年、日本とデンマークのあいだに修好条約が結ばれると、日本の皇室とデンマーク王室の交流がはじまります。日本の外交使節団や小松宮彰仁親王ご夫妻らがデンマークを訪問したり、両国のあいだで、工芸品をはじめとする贈答品が交換されたりするようになりました。

19世紀のヨーロッパで特に好まれた日本の品は、絹の刺繍が施された屏風でした。絹の刺繍が施された着物もまた人気があったといいます。

20世紀になると、ヴァルデマ王太子殿下の訪日をはじめ、文化交流の増加や交通機関の発達も手伝って、互いの国への公式訪問が増加します。

それにともなって、デンマーク王室の日本コレクションは、日本からの贈答品だけでなく、王室メンバーが自ら日本で購入された品々も加わり、さらに充実したものとなりました。

デンマーク王室のコレクションには、時代ごとの日本のテキスタイルへの興味が反映されています。伝統的な着物のみならず、マルグレーテ女王が1963年に京都で購入された菊模様の絹のドレスなど、近年のテキスタイルコレクションには、日本文化をデンマーク流に消化した興味深い品も見ることができます。

「デザイン王国」と呼ばれるデンマークですが、実は日本の美術品や工芸品がデンマークのデザインにインスピレーションを与えてきた歴史があり、本展にも、1900年ごろに日本文化の影響を受けてデンマークで制作された工芸品の数々が出品されています。

近年の日本・デンマークの交流をもっともよく表しているのが、このポロシャツではないでしょうか。

これは、2011年にフレデリック王太子殿下が来日した際、東日本大震災の被災地を支援したいとの思いから着用されていたものです。

その折に、子どもたちから贈られた折り紙の兜や、2015年に震災後被災地で初めて収穫されたお米なども、あわせて展示されています。

日本とデンマーク。遠く離れた2つの国の文化が出会い、時に混じりあう。

150年にわたって一歩ずつ着実に発展してきた、両国間の人とモノの交流を前に、心に灯がともるような温かい気持ちに包まれます。

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