ラトビアの首都リガのユーゲントシュティール博物館で、まるごとアールヌーヴォーの世界を体感
|世界屈指のユーゲントシュティールの都、ラトビアの首都・リガ。
「ユーゲントシュティール」とはドイツ語で、19世紀後半から20世紀の初めにかけてヨーロッパで流行した新芸術様式を指します。曲線や植物文様を多用した、従来の様式にとらわれない装飾性が特徴で、日本ではフランス語での呼称「アールヌーヴォー」のほうが馴染みがありますね。
リガの建築ブームとユーゲントシュティールの隆盛期がちょうど重なったことで、1900年ごろからわずか十数年のあいだに膨大な数のユーゲントシュティール建築が建てられました。
リガ中心部の建物のおよそ4割がユーゲントシュティール建築といわれるほどで、リガは知る人ぞ知るヨーロッパ最大級のユーゲントシュティール建築群を有しているのです。
そんなリガのユーゲントシュティール建築群の中心地が、新市街のアルベルタ通り周辺。リガにおける初期ユーゲントシュティール建築の旗手、ミハイル・エイゼンシュテインが手がけた独創的な傑作が集まっています。
こうした建築群とあわせて楽しみたいのが、アルベルタ通り12番地にある「ユーゲントシュティール博物館」。
建築家のコンスタンティーンス・ペークシェーンスが1903年に手がけた、ユーゲントシュティール後期民族ロマン主義建築で、建物のファサードはラトビアの植物や動物を表現したモチーフで装飾されています。
博物館内では、コンスタンティーンス・ペークシェーンスが住んでいた20世紀初頭の様子が再現されていて、内装や調度品も含めたユーゲントシュティール独特の世界をまるごと体感することができるようになっています。
家具や美術品、食器、衣類といった館内で展示されている品々は、20世紀当時、実際にリガで使われていたものです。
こちらは、来客をもてなしたり、お茶を飲んだりする空間であったリビング。当時の優雅な暮らしぶりが目に浮かんでくるようです。
特にユニークなのが、外に出っ張るようにして設けられている張り出し窓。晴れた日にここに座って、自然光をたっぷり浴びたらどんなに気持ちがいいか・・・ついそんな想像をしてしまいます。
続いては、この家で最も豪華な空間であるダイニングルーム。日々の家族の食事や友人との会食の場として用いられたこの部屋では、一段と伝統やマナーが重んじられたといいます。
光の具合によってその表情を変える窓のステンドグラスや、天井と壁に施された模様が印象的。
きわめて私的な空間であるベッドルームでも、壁やカーテンの装飾、調度品などいたるところにユーゲントシュティールの世界を見ることができます。
キッチンにも、やはりユーゲントシュティールの要素が。
ユーゲントシュティール(アールヌーヴォー)といえば、建築や工芸品などの印象が強いですが、この博物館を見れば、ユーゲントシュティールが布製品などの日用品にまで広がっていたことがよくわかります。
「ユーゲントシュティール博物館」を見学した後は、同じ建物内にある、リガのみならず、ヨーロッパでも屈指の傑作といわれるユーゲントシュティール様式の見事な階段もお見逃しなく。
まるで異世界への入口のような、不思議な雰囲気を醸し出す階段は一度見ると忘れられません。
ユーゲントシュティールが単に建築や美術の様式ではなく、ひとつの文化であったことが感じられる「ユーゲントシュティール博物館」。
クラシックであると同時に、21世紀の今となっても新鮮を失わない独特のスタイルに、すっかり魅了されてしまうはずです。
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「ユーゲントシュティール博物館」
住所:Alberta street 12 (entrance from Strēlnieku Street), Rīga, LV 1010
電話: +371 67181465
開館時間:10:00-18:00 (月曜休館)
http://www.jugendstils.riga.lv/eng/muzejs