1000年の歴史をもつモロッコの世界遺産フェズの観光スポット10選

モロッコを旅するなら絶対に訪れたい町のひとつが、1000年以上の歴史をもつ古都・フェズ。モロッコで最初のイスラム王朝の都が置かれた由緒ある町で、数世紀にわたってモロッコの芸術・文化・学問の中心地として繁栄しました。

「フェズ・エル・バリ」と呼ばれる城壁に囲まれたメディナ(旧市街)は、今も中世のたたずまいを残す世界遺産。細い路地が網の目のように張り巡らされていることから、「世界一の迷宮都市」とも呼ばれています。

そんなフェズを訪れたら必見の観光スポット10選をご紹介します。

・ブー・ジュルード門

城壁に囲まれたメディナ「フェズ・エル・バリ」のメインゲートが、ブー・ジュールド門。1913年に建造されたフェズ最大の門で、幾何学模様の彫刻や青いタイルで彩られた堂々たる姿はフェズのシンボル的存在です。

メディナには全部で8つの門があり、ここから出入りするとは限りませんが、一度はブー・ジュールド門まで足を運んでその美しさを確かめておきましょう。

メディナの外から、門のアーチ越しにブー・イナニア・マドラサのミナレット(尖塔)を入れるのが、写真撮影の定番になっています。

・ブー・イナニア・マドラサ

ブー・イナニア・マドラサは、1357年にブー・イナニア王によって建てられたフェズ最大のマドラサ(イスラム神学校)。壁面に彫られた精巧な幾何学模様やモザイクタイルの美しさは目を見張るほどで、マリーン朝建築の傑作とたたえられています。

・アッタリーン・マドラサ

1325年に建てられたアッタリーン・マドラサは、ブー・イナニア・マドラサと同じマリーン朝時代の神学校。ブー・イナニア・マドラサに比べると規模こそ小さいものの、中世イスラム建築の傑作との呼び声高く、壁面や2階の小部屋を彩る繊細な彫刻は息を呑むほどの素晴らしさです。

・カラウィン・モスク

カラウィン・モスクは、859年に建造されたフェズ最大のモスク。「世界最古の大学」ともいわれ、イスラム神学だけでなく、自然科学や医学、数学、歴史、言語などさまざまな学問を学ぶ教育の場としても発展しました。

1000年もの長きにわたって増改築が繰り返され、現在の収容可能人数は2000人。迷路のように入り組んだ狭い路地が連なるフェズのメディナにこれほど大きな空間があるとは驚きです。

非イスラム教徒は入場できませんが、モロッコとフェズの歴史上きわめて重要な場所。外観だけでも一見の価値があります。

・タンネリ(革なめし職人地区)

フェズの代名詞ともいえるのが「タンネリ」と呼ばれる革なめし職人地区。モロッコのほかの町にもタンネリはありますが、フェズのタンネリは特に規模が大きく、周囲の山々の景観ともあいまって見事な風景を楽しめることで知られています。

中世そのままに、手作業で革を染めつける珍しい光景は必見。丸い染色桶が並ぶ作業場を見渡すには、近くにある作業場兼革製品のショップの屋上へ。お店の屋上へ上がるときは、そこで売っている商品を購入するか、10~50ディルハム程度のチップを払うつもりでいてください。

・ザヴィア・ムーレイ・イドリス廟

フェズきっての聖域とされているのが、9世紀にフェズのメディナを築いたムーレイ・イドリス2世が眠るザヴィア・ムーレイ・イドリス廟。ムーレイ・イドリス2世は、フェズの守護聖人として現在も人々の篤い信仰の対象となっています。

かつては、ここに逃げこんできたイスラム教徒は犯罪者でも保護される駆け込み寺だった歴史があり、特に女性たちの信仰を集めています。非イスラム教徒は中には入れませんが、外からでもここに流れる凛とした清浄な空気を感じることができます。

・ネッジャリーン広場

フェズのメディナのなかでも特ににぎやかな広場が、ネッジャリーン広場。「ネッジャリーン」とは木工職人のことで、その名の通り、広場にある仕事場では職人が手作業で家具などを制作する光景が見られます。

18世紀建てられたフンドック(商人宿)の跡地は、ネジャリーン木工芸博物館として使用されており、木彫りの工芸品や楽器などが展示されています。

・ダール・バトハ博物館

フェズ・エル・バリの西には、「フェズ・エル・ジェディド」と呼ばれるフェズ最盛期の13世紀に築かれた町並みが広がっています。

そんなフェズ・エル・ジェディド地区にある見どころのひとつ、ダール・バドハ博物館は、19世紀の宮殿を改装した博物館。館内には、古いコーランの装飾写本や陶器、ベルベル人の装飾品といったフェズにまつわる展示品が並んでいます。

広々とした中庭の奥に広がるムーア様式の庭園は、ジェンナ(楽園)を想像して造ったものだといわれており、驚くほど静か。フェズの喧騒を忘れる穏やかな時間が流れています。

・王宮

ダール・バトハ博物館からさらに西、フェズ・エル・ジェディドの中央部に位置するのが、マリーン朝のスルタンの居城であった王宮。

何世紀にもわたって増改築が重ねられ、現在はモロッコの国王がフェズに滞在するときに使われています。一般には開放されていませんが、黄金色に輝く壮麗な正門を見て損はありません。

・マリーン朝の墓地

フェズを一望する絶好のビュースポットが、メディナの北にある、マリーン朝のスルタンたちが埋葬されている小高い丘。かつては大理石の見事な墓碑が並んでいたといいますが、現在は壁の一部が残るだけの遺跡と化しています。

しかし、フェズでもっとも高い場所にあたるここからの眺めは抜群。フェズの町を一望し、800近くもあるというモスクを見下ろせば、今も中世のたたずまいを残す古都の風情に感激せずにはいられません。

1000年以上の歴史を誇るフェズは、現在のモロッコ文化の源流を生んだ特別な町。時に世界最大級の迷路で迷うことも楽しみながら、古都の情緒を味わい尽くしてください。

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