エキゾチックな風景に魅了される、モロッコの7つの世界遺産をめぐる旅

エキゾチックな旧市街や喧騒の市場、灼熱の砂漠といった多彩な風景が世界中の旅人を惹きつけるモロッコ。あまり知られていませんが、実はモロッコには古代遺跡と砂漠の集落を除いても、7つもの世界遺産の町があります。

町全体、あるいは旧市街がまるごと世界遺産に登録されている、モロッコの個性豊かな町々に会いに行きましょう。

・マラケシュのメディナ

モロッコでも一、二を争う人気の観光都市がマラケシュ。城壁に囲まれたメディナ(旧市街)には壮麗な歴史的建造物が集中し、王都として栄えた華やかな歴史を物語っています。

モロッコきってのエネルギッシュ・シティ、マラケシュを象徴する風景が、メディナの中核をなすジャマ・エル・フナ広場。

日中はジュースの屋台や物売り、大道芸人たちが集まり、食べ物屋台が営業する夜になるとさらに多くの人々が押し寄せ、夜ごとお祭り騒ぎが繰り広げられます。その独特の文化は無形文化遺産にも登録されているほど。

ジャマ・エル・フナ広場の北には「世界最大の商業地区」とも呼ばれる迷路のようなスーク(市場)が広がり、雑貨好きにはまさに天国。一日中いても飽きることはないでしょう。

一方、広場の南には落ち着いたたたずまいの史跡地区があり、宮殿や博物館などの豪華な建造物が点在していて、見どころ満載です。

・フェズのメディナ(フェズ・エル・バリ)

「世界一の迷宮都市」として世界的にも有名なフェズのメディナ。「フェズ・エル・バリ」と呼ばれるメディナは、モロッコで最も古い歴史をもつ町で、9世紀に造られたモロッコ最初のイスラム王朝の都です。

何世紀にもわたってモロッコの商業や文化の中心として栄華を極めただけに、フェズの人々はモロッコのなかでも特に誇り高いのだとか。

メディナへのメインゲートであるブー・ジュルード門をくぐると、そこにはもう中世の世界が。複雑に入り組んだ狭い路地の両側には陶器や革製品、織物などの店が軒を連ね、通りは人やロバでごった返す光景が、今も変わらないフェズの日常です。

巨大な迷路の中には、古都の誇りを見せつけるかのようにモスクやマドラサ(イスラム神学校)といった多数の歴史的建造物がひしめき合っています。

迷いながらそれらを訪ね歩くのもフェズの醍醐味。フェズ名物の「タンネリ(革なめし職人地区)」も必ず訪れましょう。

・エッサウィラのメディナ

エッサウィラは、白と青のコントラストが爽やかなモロッコ南部の港町。多くのモロッコ人が「一度は訪れたい」と憧れる、モロッコ有数の観光地です。

現在の町並みは、15世紀にポルトガル人によって発見され、18世紀にフランス人建築家によって設計されました。その独特の空気に触れれば、モロッコ人に人気があるというのもうなずけるはずです。

芸術家や文化人に愛されてきた「アートの町」として知られるだけあって、エッサウィラのメディナには、アートギャラリーや、おしゃれなカフェ・レストラン、ストリートアートなどが点在し、開放的な雰囲気に満ちています。

どこを切り取っても絵になる町並みに加えて、通りにはたくさんの猫の姿が。エッサウィラは、猫が多いといわれるモロッコでも指折りの「猫の町」でもあるのです。

・アル・ジャディーダのポルトガル都市

堅牢な城壁に囲まれたアル・ジャディーダのメディナ(ポルトガル都市)は、1514年にポルトガル人によって建設され、1796年までポルトガルの支配下に置かれていました。

当時教会として使われていた建物やゴシック様式の装飾が施された家々などが残る、南欧風の町並みとモロッコらしい風景とが調和した、どこか不思議な雰囲気に包まれています。

この町きっての見どころが、ポルトガルの貯水槽。美しい曲線を描くゴシック様式のアーチと柱が、見る者を幻想世界へといざないます。

・テトゥアンのメディナ

スペイン南部・アンダルシア風の町並みが見られるのが、テトゥアンのメディナ。

15世紀のイベリア半島から逃れてきたイスラム教徒とユダヤ教徒によって築かれた町で、20世紀前半にはスペインの支配下に置かれた時期もありました。そのため青い空に映える真っ白な建物が並ぶ町では、モロッコとスペインの文化が入り混じった独特の風景が楽しめます。

モロッコにあるほかの世界遺産のメディナに比べ、テトゥアンのメディナはあまり観光地化されていないのが特徴。観光客向けの土産物屋やレストランはあまりなく、ほとんどが地元の人向けの商売で成り立っているので、モロッコの人々の日常がより身近に感じられます。

・古都メクネス

17~18世紀にアラウィー朝の都が置かれた古都、メクネス。

町が最盛期を迎えたのは17世紀のムーレイ・イスマイルの時代でした。彼は、フランスのルイ14世が建てたヴェルサイユ宮殿に対抗心を燃やし、数多くの城壁や門、モスクを建設し、壮大な王都の建設を目指したのです。

そんなメクネスのシンボルが、「北アフリカで最も美しい門」とも称されるマンスール門。今もこの奥に残るかつての王都跡を訪ねることができます。

現在ではずいぶんとのんびりとした空気の流れる町ですが、その穏やかなたたずまいがなんともいえない居心地の良さを生み出しています。

・ラバト:近代都市と歴史的都市が共存する首都

大西洋に面したモロッコの首都・ラバトは、旧市街と新市街が両方世界遺産に登録されているという珍しい町。フランス統治時代に築かれた新市街は、アフリカにおける20世紀の都市建設としては最大規模のものとして知られています。

整然とした新市街と混沌としたメディナとのコントラストが魅力で、城壁に囲まれたメディナに足を踏み入れた瞬間、数百年も一気に時をさかのぼったような気分になります。

新市街にあるきらびやかなムハンマド5世の霊廟も必見。首都らしい落ち着いたたたずまいと、港町らしい開放感が同居した空気に魅了されます。

それぞれに個性が光るモロッコの7つの世界遺産の町。あなたが行ってみたい町は見つかりましたか。

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