ドイツで最も古いワインの産地モーゼル地方の街コッヘムで繰り広げられる中世の城祭りとは?

ワインの産地として知られるモーゼル川流域にある小さな町コッヘム。

町全体を見下ろすようにしてワイン畑の上にそびえ立つライヒスブルク城では、毎年夏の2日間にわたり中世祭りが開催されます。

中世の職人が集まり店を出している様子は、さながら本物の中世市場のよう。本物の古城を舞台に繰り広げられる祭りは、訪れる者をつかの間の時間旅行へと誘ってくれます。

通行税(=入場料)を支払って城の敷地内に入ると、そこには職人たちの店が。中世祭りというだけあり、出店者のなかには伝統技術を扱う職人の姿が目立ちます。

特に印象的だったのが、鉄ばさみを制作中の鍛冶職人。じりじりと太陽が照りつけるなか、火の前で汗だくになりながら作業を続ける姿には脱帽です。

彼の横には、火に風邪を送るこの大きな器械が。熱した鉄をハンマーで打ちながら、タイミングを見計らって器械を手動で動かし、風を送り込みます。職人曰く、強すぎず弱すぎず最適な火加減を維持するのはかなり難しいのだそう。

また別の鍛冶職人の店には、鉄で制作したバラが並んでいました。どことなくダークで独特な美しさを放つバラは、今頃誰かの手に渡っているのでしょうか。

ほかにも中世風の衣装や装飾品、グッズなどの店も豊富。ここで衣装を揃えて、中世のいで立ちで他の祭りに出かけてみるのも楽しそうですね。

繊細な細工がされたアクセサリーは、見ているうちにどれも欲しくなってしまいます。衣装とは違い普段使いにもできそうなので、旅のお土産に1つ購入してみるのも良いかもしれません。

実際に今回の城祭りでも、少数ですが中世風の衣装を身にまとっている訪問者の姿がありました。

衣装のほかに忘れてはならないのが、角の形をしたコップ。中世の衣装を身にまとっている人の中には、このカップでビールやベリー酒を飲んでいる人も多いです。

コッヘムの城祭りでは、そのほか舞台でのパフォーマンスが繰り広げられます。なかでも大変な盛り上がりを見せたのが、中世の剣士たちによる戦いのパフォーマンス。

素早い動きと巧みな剣さばきは本物の戦いのようで、臨場感抜群。群衆も手に汗を握りながら見守ります。ちなみに写真左の男性は、21年間もこの城祭りでパフォーマンスを続けているのだそうですよ。

祭りが幕を閉じたあとは、旧市街で地元産ワインを楽しむのも忘れずに。モーゼルワインの産地として有名なコッヘムでは、町のいたるところにワイン屋やワイナリー直営店があります。

どこの店でも購入前に試飲をさせてくれるので、お気に入りのワインがきっと見つかるはず。

ワイナリーが経営するレストランでは、地元産ワインにぴったりのおつまみも一緒に楽しめます。チーズはもちろん、「シュマルツブロート」と呼ばれるラードを塗ったパンや、クリームチーズにパプリカ粉などの調味料を混ぜた「シュプンドケーゼ」は、ワインのお供の定番。ドイツでワインを楽しみたい方は、覚えておくと便利ですよ。

ワイン畑の上にそびえる城で開催される中世の城祭り。2019年の開催日は8月3日、4日となります。本物のお城で、つかの間のタイムスリップを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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協力:ドイツ観光局