東京23区の半分サイズのミニ国家、地中海に浮かぶマルタってどんな国?

地中海に浮かぶ楽園のような島国、マルタ共和国。

豊かな自然とたっぷりの日差しに恵まれたこの国は、地中海の要衝という立地からさまざまな文化の影響を受けながら発展してきました。

近年では、その美しい風景が日本でも知られるようになり、日本人観光客も増加中。とはいえ、まだまだ「マルタがどんな国なのかよく知らない」という人が多数派ではないでしょうか。

マルタってどんな国?― マルタが気になり始めたあなたは、まずはこの国に関する基本的な情報をおさえておきましょう。

・地中海に浮かぶ小さな島国

マルタ共和国は、地中海のほぼ真ん中に浮かぶ島国。

マルタを構成しているのは、おもにマルタ島とゴゾ島、コミノ島の3つの島で、国土面積は316平方キロメートルと、東京23区の半分ほどの大きさしかありません。

人口は42万人。キリスト教カトリックが国教に指定されており、国民のほとんどがカトリック教徒です。

かつてイギリスの統治下にあったことから、公用語はマルタ語と英語。語学学校も多く、英語圏のなかでは比較的物価が安いことから、英語留学先としても人気を集めています。

・7000年以上の歴史を誇る国

小国でありながら、「地中海文明の源」と考えられているマルタは世界有数の長い歴史を誇る国。マルタの歴史は、紀元前8000年または紀元前5000年ごろの巨石神殿文明にはじまります。

マルタには巨大な石を積み上げて造った巨石神殿が30ほど残されており、1980年と1992年には「巨石文化時代の神殿群」として世界遺産に登録されました。

最も古いとされるゴゾ島のジュガンティーヤ神殿は、紀元前3600年頃に建造されたといわれており、なんとエジプトのピラミッドよりも古いのです。

・さまざまな勢力の支配を受けてきた国

ヨーロッパとアフリカのはざま、地中海の要衝に位置するだけに、歴史上マルタはさまざまな勢力に支配されてきました。

よく知られているのが、1530年から268年にわたってマルタ島を本拠地とした聖ヨハネ騎士団の存在。マルタにやってきた聖ヨハネ騎士団は、1565年に大包囲戦でオスマン帝国に勝利し、キリスト教徒の砦として重要な役割を果たしました。

ところが、1798年にナポレオンがマルタに寄港すると、騎士団は戦うことなくして降伏。マルタはフランスの属領に変えられてしまいます。

2年後の1800年、今後はイギリスの統治下に。以後1964年に独立するまで、イギリスによる統治が160年以上続いたため、マルタの街並みには今なおイギリス文化の影響も見られます。

・たっぷりの日差しに恵まれたリゾート地

日本人にとってはそれほどメジャーな旅先とはいえませんが、ヨーロッパでは人気リゾート地としての地位を確立しています。

地中海性気候のマルタは、年間300日の晴天率を誇るたっぷりの日差しに恵まれた国。特に春の終わりから秋のばじまりにかけてはほとんど雨が降らないので、ヨーロッパ各地から大勢の旅行者がマルタの太陽を求めてやってきます。

マルタの夏は、日差しは強いものの湿気の多い日本とは違ってからっとしています。日本が梅雨の時期にマルタを訪れれば、爽やかな気候がいっそう気持ちよく感じられることでしょう。

・騎士団の足跡が残るマルタ島

「騎士団の島」として知られるマルタ島には、今なお彼らの足跡がはっきりと残っています。

マルタにやってきた聖ヨハネ騎士団は、まず首都ヴァレッタの対岸にあるスリーシティーズを要塞化し、1565年の大包囲戦でオスマン帝国に勝利した後、ヴァレッタを城塞都市として整備しました。

聖ヨハネ大聖堂をはじめ、騎士団が築いた壮大な建造物が点在するヴァレッタの街は世界遺産。堅牢な堡塁と城壁に囲まれ、細い路地の両側にハチミツ色のマルタストーンの家々が並ぶ街を歩けば、別世界に迷い込んだような気分にさせられます。

マルタ島では、ヴァレッタとあわせて、騎士団が最初に要塞化したスリーシティーズや、「静寂の町」と呼ばれる古都イムディーナも見逃せません。

・手つかずの自然が残る離島

マルタ島だけでは語り尽くせないマルタの魅力。マルタ本島にもはっとさせられるような美しい自然の風景がありますが、離島にはさらに手つかずの自然が残っています。

マルタを訪れたら足を延ばしてみたい離島が、ゴゾ島とコミノ島。ゴゾ島は、3万7000人が暮らす小さな島で、マルタ本島から北西へおよそ6キロのところに位置しています。

マルタ島よりもさらに自然が多く牧歌的な雰囲気のあるゴゾ島は、のんびりとリゾート滞在を楽しむのに最適。

首都ヴィクトリアや自然のアーチ「アズールウインドー」(※2017年3月8日に強風と高波で崩壊したとのこと)、

▼かつての自然のアーチ「アズールウインドー」

巨石神殿の「ジュガンディーヤ神殿」、カリプソの洞窟など、見どころも多いので、日数に余裕があればゴゾ島での宿泊もおすすめです。

そして、マルタ本島とゴゾ島のあいだにあるさらに小さな無人島に近い島がコミノ島。コミノ島周辺の海は、世界でもトップクラスの透明度で知られ、あまりに透明度が高いためにボートが宙に浮かんでいるように見えるブルーラグーンは必見です。

・気になる治安は?

よく知らない国を旅行するとき、気になるのが治安。マルタの治安はヨーロッパのなかでも良好で、マルタを旅行するにあたって、安全面に神経を尖らせる必要はありません。

とはいえ、気を抜いていると何があるかわからないのはどこも同じ。貴重品の管理に注意する、不必要に夜遅くに出歩かないなど、最低限の注意は必要です。

東京23区の半分ほどの面積でありながら、驚くほど豊かな歴史と文化がつまったマルタ。

今度はあなた自身の目で、その魅力を確かめてみませんか。

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