【旅コラム】宇都宮徹壱の『そこにフットボールがあるから』第1回「アンマン(ヨルダン)」

140919_GOTRIP!_001ph06
 現在、韓国の仁川(インチョン)で開催されているアジア大会。すでに男女のサッカーが開幕式に先駆けて行われているが、なでしこJAPANが予選リーグ2戦目で対戦した女子ヨルダン代表の健闘ぶりを見ていて、彼女たちの祖国をふと思い出した。

 試合自体は0-12という極端なワンサイドゲーム。日本との力の差は明らかだった。それでも、彼女たちは最後までプライドを忘れることなく戦い続ける姿には、密やかな感動を覚えた。

 試合をご覧になった方は気付いていたと思うが、ヨルダンの選手はヒジャブ(イスラム教徒の女性が被るスカーフ)をつけている選手と、そうでない選手がいた。

 「中東」と一口で言っても、つい最近まで女子サッカーそのものが禁止されていたサウジアラビアのような宗教に厳格な国もあれば、ヨルダンのように比較的宗教に寛容な国もある。

 首都のアンマンを訪れると、着飾った若い女性がボーイフレンドと手をつないで歩いている姿を見かけて、いささか驚いてしまった。同じ中東でも湾岸地域ではまず見かけない光景だ。

 さて、サッカーの取材を生業(なりわい)としている私にとり、日本代表がアジア予選で遠征する中東諸国はわりと馴染み深い地域である。あらためて地図で確認してみたが、イラク、クウェート、シリア以外はすべて踏破している。そんな中、とりわけ印象深いのが、昨年3月に取材に訪れたヨルダンであった。

 ヨルダンはペトラ遺跡、死海、ワディ・ラム保護区など、非常に観光資源に恵まれた国だが、とりわけユネスコの世界遺産に指定されたペトラ遺跡は必見。

 今から2000年以上も昔、見上げるばかりの岩壁を驚異的な技術と根気で掘削することで、この古代都市は誕生した。その後、長く人々から忘れ去られ、19世紀初頭になってスイス人の探検家によって再発見される。観光スポットのひとつとなっている「宝物殿」は、スティーブン・スピルバーグの『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』のロケ地としても有名だ。

140919_GOTRIP!_001ph01

140919_GOTRIP!_001ph02

140919_GOTRIP!_001ph03

 取材中での観光だったので、首都アンマンからの日帰りエクスカーションとなったが、遺跡を歩き回るには確実に丸一日を要する。付近にはホテルも多いので、もし訪れる機会があれば泊まりがけでスケジュールを組むのがお勧めだ。なおヨルダンでは、外国人の飲酒も認められている。現地の赤ワインは絶品なので、こちらもぜひ!

Post: GoTrip! http://gotrip.jp

140919_GOTRIP!_001ph04