フランスの世界遺産の街をもっと楽しむ!ストラスブールの遊覧船

世界遺産の美しい旧市街が人気を集めているフランスのストラスブール。

ライン川の支流のイル川をはじめとする水路に囲まれた街として古くから発展してきました。

ストラスブールを最大限に満喫したいならはずせないのが、イル川の遊覧船。

ロアン宮前の船着き場から出発して旧市街、プティット・フランス、欧州議会などの主要スポットを巡る70分の船旅です。

この遊覧船、単に船に乗って街の景色を眺めるだけではありません。

各エリアや目に入る建物などを解説してくれるオーディオガイド(日本語有り)があるので、日本のガイドブックには載っていないような興味深い情報を知ることができます。

さらに、水門を開けながら進んでいくアトラクション気分も味わえ、まったく退屈することがありません。

遊覧船に乗るなら絶対に入手しておきたいのがストラスブールパス(18.9ユーロ)です。

これがあればイル川の遊覧船(12.5ユーロ)やストラスブール大聖堂の展望台(5ユーロ)、天文時計のからくり見学(2ユーロ)、美術館1ヵ所(6.51ユーロ)、レンタサイクル半日(5ユーロ)が無料になるなどさまざまな特典があるお得なパスです。

観光を始める前に、ストラスブール大聖堂前の観光案内所などでパスを購入しておきましょう。

ストラスブールパスを持っている場合でも、遊覧船のチケット売り場で遊覧船のチケット(時間指定)と引き換える必要があります。

遊覧船は観光客に人気が高くハイシーズンには大変混雑するので、できるだけ午前中早めに購入するのが確実です。

遊覧船には屋根あり(エアコン付)と屋根なしの2種類があります。

景色を存分に楽しみたい、素敵な写真を撮りたいという場合は、言うまでもなく屋根なしのオープンボートがおすすめです。

それでは70分の船旅に出かけましょう。

出発して間もなく見えてくる大きな建物は旧税関。

14世紀にはストラスブールの商業を支える中心地としての役割を担っていました。

大戦中に米軍の空爆により破壊されましたが、戦後再建され今の姿となっています。

街全体が建築博物館といっても過言ではないストラスブールには、さまざまな様式の建造物が美しさを競うように並んでいます。

この優雅な装飾が施された建物は、ルイ14世も泊まったホテルだったそう。

いくつもの橋をくぐりながら船は進んでいきます。

ストラスブールには船の乗客に向けて笑顔で手を振ってくれる人がたくさん。

そんな心の余裕が素敵だと感じると同時に、ここに暮らす人々がストラスブールの街を愛していることが伝わってきて心がじんわりと温まります。

ここから先、ストラスブールの中でも特に可愛らしい木組みの建物が連なる「プティット・フランス」地区に入っていきます。

この水門は水位の違いを利用して開くきわめてアナログな仕組み。

門が開く際、門の手前の水位が上昇し船が徐々に浮き上がってくるのが体感できます。

数分待つと門が開くと同時に船の位置も下がり、少し後退します。

水位の変化をリアルに感じるのは、遊覧船に乗った人だけが得られるユニークな経験です。

船が水門を通過する様子を一目見ようと、川沿いにはたくさんの見物客がやってきています。

中世の時代、このあたりは皮なめし職人が集まる地区でした。

皮の加工には大量の水を必要とするため、豊富な水資源をもつこのエリアは彼らにとって最適だったのです。

ここに立つ家々の窓が大きいのは、皮を干す屋根裏部屋の換気を良くするためだったのだとか。

今は可愛らしい街並みで人気の地区が、かつては皮革の匂いが漂う職人の街だったなんて、興味深いですね。

プティット・フランス地区は大聖堂地区と並ぶストラスブール観光のもう一つのハイライト。

いつもたくさんの観光客でにぎわっていますが、周辺の川沿いは地元の人々の憩いの場でもあります。

観光と日常とが同居する、この素朴さもストラスブールの魅力なのです。

重厚な石造りが印象的なクヴェール橋は、1200年から1250年にかけて塔と一緒に建設された壁橋で、13世紀にはこのような塔が80以上もあったといわれています。

1681年に中世の要塞を強化するために建設されたヴォーバン・ダム。

敵の襲撃の際には、最前線となる街の南部を水没させられるように設計されました。

また水門を開けて次のエリアへと進んでいきます。


このあたりはドイツ領時代に造られた「ノイ・シュタット」と呼ばれる地区。

ストラスブールをはじめとするアルザス地方は、フランスとドイツが激しい領有権争いを繰り広げた悲劇の舞台でした。

普仏戦争でストラスブールを手中におさめたドイツ皇帝・ヴィルヘルム1世は、帝国の威信を示すためストラスブールの街を50年間で3倍の規模に拡張しました。

今に残るドイツ領時代の建物の数々が、この街の複雑な歴史を物語っています。

3度の戦争を経て、ストラスブールは晴れてフランスとドイツの和解の場となりました。


今では欧州議会や欧州人権裁判所の本部が置かれ、ヨーロッパ統合を象徴する新たな役割を担っています。

イル川の遊覧船に乗れば、ストラスブールの見どころを目にしながら街が歩んできた歴史をたどる貴重な体験ができます。

船を降りるころにはこの街がもっと好きになり、現在の平和で美しい街の姿に感謝したくなるはずです。

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