カッコ良過ぎて思わず見とれる…クールなロンドン地下鉄駅4選

1863年に世界で初めて開業した歴史あるロンドン地下鉄。トンネルも車両も丸みを帯びた管(チューブ)のような形状から、一般的に「チューブ(Tube)」の愛称で呼ばれています。

文明史にその名を刻み、150年以上の歴史を誇りながら日々進化・拡張を続けるロンドン地下鉄には、開業当時の面影をそのままに残す駅から、超近未来的なウルトラ・モダンな駅まで、鉄道ファンならずとも思わず足を止めたくなる魅力的な駅が数多く存在します。

今回は『ここまでカッコ良くする必要があるのか!?』というほどカッコ良く、思わず見とれてしまうクールな地下鉄駅4選をご紹介しましょう。

・サザーク(Southwark)

1999年に「ジュビリー・ライン(Jubilee)」の延長区間として「ウェストミンスター(Westminster)」から「Stratford(ストラトフォード)」区間に新設、または拡張開業した駅は、そのどれもがコンクリートとメタルを基調にした未来的なデザインが特徴。

その中でも洗練された美しさが際立っているのが延長区間に新設されたサザーク駅です。

王立芸術委員会(Royal Fine Art Commission)による2000年のビルディング・オブ・ザ・イヤーを受賞したこの駅は、まるで近代美術館のような気品を湛えています。

観光客が利用する機会はあまりない駅ですが、テムズ川南岸や「テート・モダン(Tate Modern)」美術館が徒歩圏。長距離列車と地下鉄が通るターミナル駅である「ウォータールー(Waterloo)」から一駅で、徒歩でも至近距離となっています。

・バーモンジー(Bermondsey)

サザーク駅から二駅の場所にあるこの駅の特徴はダイナミックな空間美。

ホームに下りると目に飛び込んでくるのが線路の上部に開いた空間に、規則的に張り巡らされた太い梁。空間は地上まで続き、地下ホームまで自然光が差し込んでいます。

コンコースでも際立つ太い梁。

通常の地下鉄のエスカレーターはトンネル状になっていますが、この駅は地上まで吹き抜け。迫力ある高さの壁は、自然光と温もりあるライティングに照らされ、コンクリートむき出しでありながら冷たい印象はありません。
エスカレーター上部から見下ろすと、切り立った断崖にはさまれた峡谷のよう。

エスカレーターを上りきると、ガラス張りの壁から通りの新緑が目に飛び込んでくる開放的なホールが広がります。

駅から徒歩10分ほどのエリア「スパ・ターミナス(Spa Terminus)」は、近年穴場的美食エリアとして活気付いています。線路のガード下には、クラフト・ビールの醸造所やジンの蒸留所、チーズやパンなどこだわりの食品工房などが軒を連ね、毎週土曜には工房を一部開放しドリンクや食品が販売され、多くの買い物客で賑わいます。

・カナリー・ワーフ(Canary Wharf)

テムズ川北岸に位置する半島のような土地「アイル・オブ・ドッグズ(Isle of Dogs)」にあるこの駅は、日本語では一般的にカナリー・ワーフと表記されますが、実際にはカナリー・ウォーフと発音します。

同じくジュビリー・ラインの開通により誕生した駅ですが、驚くべきはその大きさ。降りた瞬間にその広大さに圧倒されます。

天井が高く広々とした空間は、ロンドン中心部の古く狭々とした地下鉄駅とは対照的。

そして実はこの駅、映画「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」のロケ地となっており、世界中の熱狂的スター・ウォーズファンが訪れる駅でもあります。

地上に出るとロンドンらしいレンガや石造りの重厚な建物は見えず、近代的な高層ビルに囲まれた景色は逆に新鮮。カナリー・ワーフは、ロンドン中心部の歴史ある金融街「シティ(City)」に並ぶヨーロッパの金融の中心地として再開発されたため、これらの高層ビル群で働く膨大な人数の人々が利用する駅として特に大きく造られています。


・Southgate(サウスゲート)

「ピカデリー・ライン(Piccadilly Line)」の終着駅に近いこの駅は、1920年代から30年代にかけてロンドンの多くの地下鉄駅をデザインした設計士で、アールデコ調のデザインを得意としたチャールズ・ホールデンの代表作。

コンコースには燭台を模したライトが堂々とたち、エスカレーターには特徴的なライトが立ち並びます。

壁の塗装は所々はがれかけており、少々くたびれた印象もありますが、情緒溢れる雰囲気が漂っています。

駅舎は完全な円形にデザインされ、そのカッコ良さが際立つのが日暮れ後。暗闇に浮かび上がるサウスゲートの駅は、まるでそのまま上空に飛び上がっていってしまいそう。
アールデコのレトロさと、宇宙船のような未来感を兼ね備えた異彩を放つ駅です。

バスターミナルと曲線が美しい商業ビルが駅舎をとり囲むその様は、映画「ブレードランナー」のような近未来感。歩いていると映画の中に身を置いているような気分になってきます。
サウスゲートは駅周辺の賑やかな商店街以外は大きな家が立ち並ぶ住宅街が広がる落ち着いた街となっています。

鉄道ファンのみならず建築ファンからも映画ファンからも注目を浴びるロンドン地下鉄。
ロンドンを訪れた際はただの交通手段として足早に通りすぎるだけでなく、足を止めてじっくりと眺めてみては?

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