スペインの世界遺産の古都、イスラム文化が花開いたコルドバには魅力がいっぱい!

スペイン南部、アンダルシア地方の古都コルドバ。後ウマイヤ朝の首都としてイスラム文化が花開いたこの地は、今もエキゾチックな魅力にあふれています。

756年、イランのダマスカスを追われたウマイヤ家の最後の一人、アブド・アッラフマーン1世がコルドバで即位し、後ウマイヤ朝が開かれます。全盛期を迎えたアブド・アッラフマーン3世の時代には、コルドバは50万人もの人口を抱え、街には300ものモスクがひしめきあっていました。その繁栄ぶりは、東ローマ帝国の首都、コンスタンティノープルと競うほどだったのだとか。

1236年にキリスト教徒がコルドバを奪回しましたが、イスラム文化の痕跡は今もコルドバのいたるところに残されており、かつての栄光を物語る歴史的な街並みは「コルドバ歴史地区」として世界遺産にも登録されています。

・幻想的な空間が圧巻のメスキータ

コルドバの代名詞ともいえるのが、イスラム教とキリスト教が共存するメスキータ。メスキータは、785年に後ウマイヤ朝を開いたアブド・アッラフマーン1世によって、モスクとして建設が始められました。コルドバの発展にあわせて拡張が繰り返され、ついには2万5000人を収容する一大モスクが完成したのです。

のちに、コルドバがキリスト教徒に再征服されると、メスキータはキリスト教の聖堂へと改造されました。ところが、イスラム建築の特徴であるアーチや、メッカの方角を示すミフラーブなどが残されたため、イスラム教とキリスト教建築の美が融合した、類まれなる幻想的な空間となっているのです。

とりわけ、「円柱の森」と呼ばれるどこまでもアーチが続く光景は息を呑む美しさ。そこに足を踏み入れた瞬間、メスキータの世界の虜になってしまいます。

路地散策が楽しいユダヤ人街

メスキータを見た後は、メスキータの北側に広がるユダヤ人街を散策してみましょう。かつては、西カリフ帝国の経済を支える存在として厚遇されたユダヤ人たちが暮らす地域でしたが、1492年、レコンキスタ後の追放令によって、ユダヤ人はコルドバの街から姿を消すことになります。

こうした哀しい歴史をもつユダヤ人街ですが、迷路のように入り組んだ細い路地にはカフェやレストラン、ショップが並び、とても賑やか。白壁の建物と石畳の小道も情緒たっぷりです。

かつてのユダヤ教会「シナゴガ」や12世紀のアラブ風邸宅を再現した「カサ・アンダルシ」をはじめ、歴史的建造物も点在しているので、のんびりと街歩きを楽しんでみましょう。

・コルドバが一望できるアルカサル

メスキータのほど近くに建つコルドバを代表するもうひとつのモニュメントが、アルカサル。14世紀、カスティーリャ王アルフォンソ11世によってイスラム宮殿の跡地に建設された城です。

城内では、アラブ式の庭園や、ローマ時代のモザイクなどを見学することができます。しかし、アルカサルの一番の見どころはなんといっても塔からの眺め。

メスキータをはじめとする砂漠色の風景は異国情緒満点。「ヨーロッパにもこんな風景があったのか!」と感動するはずです。

・歴史のロマンを伝えるカラオーラの塔

メスキータから見て、グアダルキビル川の対岸にたたずんでいるのがカラオーラの塔。川にかかるローマ橋の防衛のために建設された要塞で、現在は、コルドバ周辺の歴史を紹介する博物館となっています。塔の上からは対岸のメスキータを眺めることもでき、一見の価値あり。

ほかにも、先史時代からイスラム支配の時代にいたるまでのコルドバの歴史を物語る考古学博物館や、美しいパティオで知られるビアナ宮殿など、コルドバには見どころが満載です。

イスラム教とキリスト教が融合した世界遺産の街、コルドバ。その独特の吸引力で人々を惹きつけるユニークな街を歩いてみませんか。

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