素通り禁止!ポルトガル世界遺産の街、シントラの王宮は見た目よりスゴイ
|イギリスの詩人バイロンが「この世のエデン」と称えたリスボン近郊の街シントラ。
その美しい風景は「シントラの文化的景観」として世界遺産に登録されています。
そんなシントラで見逃せないスポットの一つが、街の中心・レプブリカ広場に面した王宮。
ポルトガル王家の夏の離宮で、イスラム教徒が残した建物を13世紀にディニス王が居城として整備、その後14世紀にジョアン1世が増改築を行いました。さらにマヌエル1世の時代にも増築がなされたため、ムデハル、ゴシック、マヌエル、ルネッサンスなど、さまざまな建築様式が融合した複合建築となりました。
シントラで最も人気の観光スポットは、おとぎの国を思わせるカラフルなペーナ宮殿ですが、内装はむしろ王宮のほうが豪華。王宮内部には、個性豊かに彩られた美しい部屋の数々が待ち受けています。
数ある部屋の中で、特に見逃せないユニークな部屋をご紹介しましょう。
・白鳥の間
ジョアン1世が英国に嫁いだ娘の幸福を願って造らせた「白鳥の間」。宮廷舞踏会場として使用された大広間で、その名の通り、天井に夫婦円満の象徴とされる白鳥が描かれています。
27羽の白鳥がすべて異なるポーズで描かれている点に注目。明るく甘やかな色使いが、女性的な優しい雰囲気を生んでいます。
・カササギの間
可愛らしいカササギが天井に描かれた「カササギの間」。実は、宮廷内で起きた浮気事件に端を発しています。
この部屋でキスシーンを目撃されたジョアン1世が、「浮気ではなく善意の接吻」であると弁解するために、「おしゃべり」を意味するカササギと、”POR BENNE(「善意の接吻」を意味する言い訳の言葉)”を天井一面に描かせたのです。
一見可愛らしい天井画にそんな意味が込められていたなんて、驚きですね。
・紋章の間
シントラの王宮内でおそらく最も豪華な部屋が「紋章の間」。王宮の最上部にあたる部屋で、ドーム天井に施された黄金の装飾が圧巻。
天井部分に描かれているのは、16世紀の王侯貴族の紋章。その功績を称えられたヴァスコ・ダ・ガマの紋章もあります。
狩猟の場面などを描いた18世紀のアズレージョ(ポルトガル伝統の装飾タイル)も美しく、まさにポルトガルならではの芸術が詰まった空間といえます。
・アラブの間
小さな空間ですが、ポルトガルに現存する最古のアズレージョが残る「アラブの間」にも注目。
多彩色のアズレージョは、15世紀にスペインのセビーリャで作られたもので、アーチ部分に施された細やかな装飾がエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。
他にも、天井の装飾に目を見張る礼拝堂や、王の寝室など、個性が光る空間の数々は見ごたえ抜群です。
王宮は内部だけでなく、庭園からの眺めも見逃せません。内部を見学し終わって庭に出ると、山に抱かれた美しいシントラの風景が目に飛び込んできます。
自然と調和したカラフルな街並みはどことなく幻想的な雰囲気。中心部でシントラの景色を楽しむならここがベストスポットでしょう。
ペーナ宮殿と比べると訪れる人が少ない王宮ですが、やはりシントラを語る上で王宮は欠かせない存在。シントラを訪れるなら、歴代の王たちが権力と美意識を誇示するように飾り立てた王宮を素通りしてはいけないのです。
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