山が丸ごと博物館!和歌山県の紀伊風土記の丘で古代へと時空旅行してみませんか?
|和歌山市の中心部から東に逸れた山中に紀伊風土記の丘はあります。
和歌山県立の博物館施設であり、主に特別史跡「岩橋千塚古墳群」の保存を目的とし、1971年に開設されました。
古墳群としては全国屈指の群集墳で、65万平方メートルの園内には430基もの古墳が密集しています。
そのうちの一部の古墳で、横穴式石室、竪穴式石室の2つの石室と、箱式石棺墓が公開されており、自由に内部を見学することができます。
園内を歩くと、至るところにこんもりと盛り上がった丘のようなものが点在しており、このような看板がないと古墳だと気づかないものもしばしば。
こちらはA46という、直径約27メートルの円墳の石室入口です。
しんと静まり返った山中にひっそりとある入口は、外からは狭さと暗さゆえ内部が見えません。また、じめっと生暖かい空気に包まれており不気味さが漂います。
すくむ足を叱咤し、向こう側までのほんの短い距離、その細く薄暗い通路を抜けると、石棚と石梁4枚を用いた横穴式の石室が。
この石室は長さが8.8メートル、高さ3.4メートルです。しかし、実際に入ると圧迫感があり、それよりもずっと小さく狭く感じられます。現在は何も残されていませんが、遥か昔はここに紀氏の人々が埋葬されていました。実際、すぐ隣の古墳A47では石室内から人骨片が発見されています。
石室上部、石棚を見上げて。重厚な石が今にも降って落ちてきそうです。
また、設置されている照明を点灯させていてもこの暗さですので、懐中電灯の使用が望ましいです。
更に登り、山中を進むと将軍塚古墳(前山B53)が現れます。全長42.5メートルの大きな前方後円墳です。おなじみの鍵穴のような形をした前方後円墳ですが、山中にあるためその全貌は確認できません。しかし、後円部の石室が公開されており、内部への侵入が可能です。
A46に比べると広く進みやすい入り口で、照明の明るさも十分。すでに盗掘を受けていたため埋葬者以外にどのような副葬品があったのかは不明ですが、銀環、玉類、鉄器、壺や高杯の一部がここから見つかっています。
古墳群を巡る途中にはこんな景色も望めます。ベンチが設置されているので、休憩を取りながら進みましょう。
天気の良い日には淡路島が見える、ここは展望台ではありません。大日山35号古墳のてっぺんなのです。
大量の埴輪が出土した、長さ86メートルの前方後円墳は県内最大規模を誇ります。内部は基本的に非公開ですが、このように古墳に登ることができ、前方部、後方部のどちらからも素晴らしい景色が見渡せます。
35号古墳の周りを散策すると見つかる、閉ざされた扉。この扉が開くのは年に2回、石室の公開日のみ。その日だけこの大きな古墳の内部をうかがうことができます。
他、園内には古墳群より出土した埴輪や土器が展示されている資料館、植物園、復元堅穴住居、移築民家などが点在し一日かけて散策できます。まさに園内まるごと、歩いて巡る博物館。お弁当持参ではるか昔の風を感じてみませんか。
先が見えないその向こう側は、古代へと繋がっているのかもしれません。
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ディア
名前 紀伊風土記の丘
住所 和歌山県和歌山市岩橋1411
アクセス
・JR和歌山駅東口から和歌山バス「紀伊風土記の丘」行、終点下車 バス停から徒歩5分
・JR和歌山線「田井ノ瀬駅」下車。徒歩30分
・JR和歌山駅からタクシーで10分
・阪和高速道路「和歌山インター」から約5分
公式HP http://www.kiifudoki.wakayama-c.ed.jp/