1000のアンティークが彩る華麗なる世界「ペナン・プラナカン・マンション」がすごい!
|東南アジア有数のリゾートとして知られるマレーシアのペナン島。その中心都市が、世界遺産に登録されている歴史都市ジョージタウンです。
マレー、中国、インド、ヨーロッパの文化が混在する文明の十字路として栄えてきたジョージタウンで、絶対に見逃せない邸宅が2つあります。
ひとつは「ブルー・マンション」の愛称で知られ、現在はホテルとして営業している「チョンファッツィ・マンション」。そしてもうひとつが、「ペナン・プラナカン・マンション」です。
1000点を超えるアンティークを展示する博物館として公開されているこの邸宅は、とにかく「素晴らしい」の一言に尽きます。ペナン島・ジョージタウンで必見の、華麗なるプラナカンの世界をのぞいてみましょう。
「ペナン・プラナカン・マンション」は、19世紀末のペナンの有力者であったハイキーチャンによって建てられた邸宅。その名の通り、典型的なプラナカン建築の家です。
プラナカンとは、中国からマレーシアやシンガポールに渡った中国系移民の子孫のこと。彼らはマレー半島で現地の女性と結婚し、中国文化にマレー、西洋の文化を融合させた華やかなプラナカン文化を築きました。
ちなみに「マンション」とは、英語で「豪邸」や「邸宅」の意味。日本で使われるアパートを意味する「マンション」とはちょっと意味合いが違います。
館内は、当時の暮らしぶりが伝わってくるような臨場感あふれる展示。一歩中に入れば、空間の美しさと展示品の豪華さに圧倒されます。
この邸宅は風水を取り入れたつくりになっていて、かつては中庭に池がありました。家にたくさんの水があることは、たくさんのお金が入ってくることを意味するのだとか。
1階は中庭やダイニングなど、家族の共用スペースが中心となっています。間仕切りに施された優雅な彫刻は圧巻。
シャンデリアやテーブルセットなどの調度品を見ただけでも、プラナカンの人々が巧みに西洋文化を取り入れていたことがわかりますね。
家具の多くは中国から持ち込まれたもので、床材や大理石の彫像、食器の一部は、はるばるイギリスから輸入されたものです。
アジアとヨーロッパの様式を見事に融合させた空間は、プラナカン独特のエキゾチックな魅力を放っています。
2階には夫婦の寝室や、先祖を祀るホール、「ニョニャ・ウェア」と呼ばれるプラナカン特有のカラフルな陶器、ガラス製品のコレクションの展示などがあります。
ピンクやグリーンといった、パステルカラーのニョニャ・ウェアの数々は、心躍る可愛らしさ。
ガラス製品の展示室では、窓から入り込む自然光がガラスの花差しやランプを照らし出し、幻想的な光と色の世界が広がります。
美しい彫刻や刺繍のタペストリーなどで彩られた豪華なベッドも必見。同じ部屋に大小2つのベッドがあるのは、妻が妊娠したら夫が別のベッドで寝る習慣があったからなのだそうです。
併設の博物館には、プラナカンの女性「ニョニャ」が身に付けたアクセサリーや、ニョニャが手がけた刺繍をはじめ、膨大な数の装飾品が展示されています。
アクセサリーの素材は、金銀、ヒスイ、エメラルドなど、バリエーション豊富。裕福なプラナカンたちの華やかな生活ぶりに、思わずため息が…
ニョニャたちにとって、料理ができることと刺繍(裁縫)ができることは、お嫁に行くための絶対条件だったのだそう。精巧な手仕事の数々に、目が釘付けになってしまいます。
家主のこだわりと美意識が感じられるこだわり抜いた空間といい、展示されているアンティークの数々といい、すべてが絵になる美しさ。筆者は2時間ほどかけてじっくりと堪能しました。
華麗なるプラナカンの文化が肌で感じられる「ペナン・プラナカン・マンション」。ここを後にする頃には、異次元の世界を旅したかのような特別な気分になっていることでしょう。
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