【世界の街角】中世の姿をそのまま残す丘の上の小さな町、スペイン・セゴビア県「ペドラッサ」

日本人にとってヨーロッパで行きたい旅行先の1つ、スペイン。

世界的に有名なスペインサッカーや美味しいスペイングルメバル巡り、さらには有名な建築物で言えばバルセロナのサグラダ・ファミリアやグラナダのアルハンブラ宮殿、コルドバのメスキータなどなど、さまざまな魅力が溢れています。

そんな魅力たっぷりのスペインには、中世の姿を残す町がたくさん残っています。

今回はマドリッドから120キロ、白雪姫城とローマの水道橋があるセゴビアの街からだと37キロ離れた場所に位置する、セゴビア県内のペドラッサ(Pedraza)をご紹介します。

このペドラッサ、毎年7月の週末に2回、ろうそく祭りが催されるのですが、その時期には多くの人々がこの街を訪れます。

セガ川(Río Cega)の支流であるサン・ミゲール川(Arroyo de San Miguel)とヴァディージョ川(Arroyo de Vadillo)に囲まれた、標高1073メートル、面積31,89平方キロメートルの丘の上の小さな町、それがペドラッサです。

街の中はどこも一方通行ですので、他の車と同じ方向に進めば、迷う事はありません。

丘の上の小さな街から眺める景色は抜群です。


紀元前4世紀には、ここペドラッサに人が存在していたという記録がありますが、歴史的資料としては10世紀からこの街の歴史が始まります。

10世紀というと、イベリア半島はまだイスラム勢力の時代ですが、高台のペドラッサにはフェルナン・ゴンサーレス伯爵指揮下のカトリック軍が陣を張り、レコンキスタ(718年から1492年までに行われた、キリスト教国によるイベリア半島の国土回復活動のことをレコンキスタといいます)に力を注いでいました。

セゴビア地方はトレドのレコンキスタを成し遂げたアルフォンソ6世王によって、1079年にレコンキスタが完了します。これはトレドのレコンキスタよりも6年も早く達成されています。

キリスト教となった後もこのエリアの人々は、アラブ人たちが営んでいた羊の放牧と毛織物の貿易を引き続き行います。

14世紀から19世紀初頭に領国制度がなくなるまでは、権力を握る貴族たちが貿易商として移り住み、ペドラッサには帰属貴族の紋章の刻み込まれた家々が建ち並びます。

「城とスロアガ美術館(Castillo y Museo Zuloaga)」は13世紀に造られた城は15世紀に建て直され、当時の権力者フェルナンデス・デ・ベラスコ(カスティージャ国総監および初代フリアス公爵)の城でした。

1926年に画家のスロアガがこの城を借り、この地方の風景やペドラッサの人々を描いています。

「マジョール通り(Calle Mayor)」はこの街のメインストリート。

左手にサンタ・マリア教会(Iglesia de Santa María)の塔を見ながら、マジョール広場まできれいに保存された家並みが続くマジョール通りを歩きましょう。

そんなマジョール通りには、今スペインで人気となっている田舎風ホテル(Hotel Rural)もありますし、さまざまな中世の街並を楽しむ事ができます。





ヨーロッパ各国に輸出するほど繁栄した毛織物の貿易業でしたが、イギリスの産業革命によって18世紀にはスペインの毛織物は衰退していきます。

そして19世紀初めになると、領国制度が廃止になり、領主であった貴族たちは徐々にペドラッサから離れ、この町はほぼ無人の状態になってしまいました。

20世紀になり、市役所が空いた家々を安く売りに出し、現在はセカンドハウスとして、日和が良ければ近郊から週末を過ごしに、また夏休みなどは遠方からも長期滞在として訪れ、人々がにぎわう町に戻りました。

この街の中心「マジョール広場(Plaza Mayor)」は、まったく統一性はありませんが、スペインで最も美しい広場のひとつとされています。

1階はバル・レストランになっている所が多いのですが、休みでも週末でもない日に訪れるとほとんど人に出会う事がありません。

人口416人(2015年)とのことですが、実際にお住まいの方はほとんどいないのかもしれません。




マジョール広場からレアル通りにぬける通りの角に観光インフォメーションがありますので、観光で訪れた際には立ち寄ってみるのもいいかもしれません。



バル・レストランも昔ながらの建物ですので、立ち寄ってみてもいいかもしれません。

ただ、ペドラッサのあるカスティージャ・イ・レオン州は、昔ながら飲食業以外の商店は、日曜祭日は安息日として、平日も午後の2時から5時までは昼休みとして閉まっていますので、ご注意ください。












かつての繁栄の陰を色濃く残す中世の街並が楽しめるスペイン・セゴビア県「ペドラッサ」。

様々な歴史を経て旅人を迎えてくれるその街全体の雰囲気は、この街ならではのものに違いありません。

もしマドリッドを訪れたのなら、もう少し足を伸ばしてこちらの街に行ってみてはいかがでしょうか?

きっと素敵な中世の街との出会いは、忘れられない旅行の記憶の1ページになるに違いありません。

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