【世界の美術館】石油王が寄贈した美術館「グルベンキアン美術館」はリスボンで注目度No.1の膨大な作品の宝庫だった!
|ロマネスク、ゴシック、ルネッサンス、ロマン主義、写実主義、印象派、などと、素晴らしい名画の数々を生み出してきたヨーロッパにある多くの美術館は、実は個人の美術品収集家のコレクションが元になっている事が良くあります。
ポルトガルの首都リスボンにいくつかある美術館の中でも最も注目されているこちら「グルベンキアン美術館」もまたその個人コレクションが元になった美術館の一つです。
こちらの美術館の主はトルコのイスタンブール生まれのアルメニア人石油王であり実業家だった、カルースト・グルベンキアン。
石油商人の息子として生まれたグルベンキアンは当時重工業で世界をリードしていたイギリス・ロンドンで石油工学を学び、現在のロイヤル・ダッチ シェルグループの合併に尽力します。
日本が日露戦争を戦った頃でもある1907年当時、グルベンキアンはロイヤル・ダッチ シェルグループの合併時に5%の株式を取得します。
その後、次々と石油会社を立ち上げ、その全ての会社で5%の出資を行ったグルベンキアンは「ミスター5%」とも呼ばれました。
莫大な財産を築き上げたグルベンキアンは、第二次世界大戦を避けて渡ったポルトガルで余生を送りました。
「グルベンキアン美術館」は、そんな彼の遺言に従い、石油で稼いだ莫大な個人財産を元に建てられ、世界中で収集した美術作品約6000点が展示されています。
「グルベンキアン美術館」はリスボンの市街地から離れた閑静な地域に建てられており、メトロの駅からは歩いて10分ほどです。
グルベンキアンの趣味であった美術収集による膨大なコレクションの中でも、親交があったルネ・ラリックのアール・ヌーヴォーとアール・デコの時代を駆け抜けた145点のコレクションは大変有名です。
またその他にも、古代エジプトからイスラム美術、東洋陶磁器、それから印籠や蒔絵といった日本美術、またフランス家具などもあり、非常に幅広い展示がされています。
「一番好いものだけを集める」というグルベンキアンの信念の通り、どれも見ごたえのある作品ばかりです。
▼マネの「シャボン玉をする少年」(1867)
▼サージェント「柳の下のパントで眠る母と子」(1887)
展示されている日本の印籠については、これ程の数があるところは日本国内にも無いのではないかと言われています。
ほかにもグルベンキアンに関する書物や近影なども展示されていました。
グルベンキアンの資産は、280〜840億円(現在の価値で10兆円)で、当時は世界でもトップレベルの富豪といわれていました。
そして、彼はそのほとんどを美術品収集と慈善活動に捧げたと言われています。
1969年に創設されたグルベンキアン財団は他にもグルベンキアン管弦楽団などの運営も行っております。息子のヌバール・グルベンキアンも父親と同様に慈善家として知られていました。
こちらの美術館のある敷地内は、大変広々とした作りになっておりますので、ゆっくり寛げる公園としても知られています。
グルベンキアン財団のコンサートホールや、定期的に変わる企画展示スペース、現代アートセンター、そして図録などが購入できる図書館、レストランなどもこの敷地内にあります。
美術鑑賞後にテラスで過ごすゆったりとした時間は至福です。
暖かい日には、水遊びをしている人の姿も見かけられます。
近代史になお残すグルベンキアンの生涯と優雅に美術作品にたっぷりと触れる、そんなポルトガルでの休日の過ごし方はいかがでしょうか。
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名前 グルベンキアン美術館(Museu Calouste Gulbenkian)
住所 Av. de Berna 45A, Lisboa
電話 +351 21 782 3000
営業時間 10:00-18:00/火曜日定休
観覧料 4€
ホームページ https://gulbenkian.pt/museu/en