ブドウ畑に囲まれた「フランスの最も美しい村」、歩くだけで心が洗われるユナヴィル

ドイツとの国境に近いフランス東部、アルザス地方は可愛い町の宝庫。ここには、カラフルな木組みの家が並ぶ、絵本から飛び出してきたかのような町が点在しています。

そのひとつが、「フランスの最も美しい村」にも認定されているユナヴィル。アルザスワイン街道沿いに位置し、ブドウ畑に囲まれた人口600人ほどののどかな村です。

7世紀ごろ、貧しい人々のために献身した聖ユナにちなんでその名が付けられました。聖ユナは、村の泉で貧しい人々の衣類を洗い、ブドウが不作の年には泉の水をワインに変えたという伝説が残っています。

ユナヴィルのシンボルが、11世紀の教会跡に15世紀から16世紀にかけて建設された要塞教会。城壁に囲まれた珍しい教会で、ブドウ畑の真ん中にぽつりとたたずむ姿はなんともロマンティックです。

ワインの産地らしく、時計の針はブドウとブドウの葉。

こぢんまりとした空間ながら、美しいステンドグラスや壁画が残る教会内部は、静謐な空気に満ちています。

教会の敷地内からは、山とブドウ畑に囲まれ、静かに時を刻み続けるユナヴィルの風景が見渡せます。周囲の自然と調和した村の風景は、瞼に焼き付けたい美しさ。

村を歩けば、色とりどりの木組みの家々が連なる、絵のような風景に出会えます。

これらの木組みの家の多くは16世紀から18世紀にかけて建てられたもの。どの家も花で飾られていて、手入れの行き届いた家々からは、アルザスの人びとが古いものを大切にしながら、心豊かに暮らしてきたことがうかがえます。

かつて家畜の水飲み場であり、村人たちの給水場でもあった17世紀の泉。ピンクの花々で彩られたその姿は、物語の世界に迷いこんだかのような気分を味わわせてくれます。

アルザス地方には、ほかにもリクヴィルやエギスハイムといった「フランスの最も美しい村」に認定されている村がありますが、ユナヴィルは圧倒的に静か。

一番にぎわうはずの週末でも、観光客はちらほら見かける程度で、村には数百年前から変わっていないであろうゆったりとした空気が流れています。

「フランスの最も美しい村」でありながら、観光地化されきっていないユナヴィルは、最も村らしい雰囲気が味わえる場所といえるでしょう。

どこまでも穏やかで優しい風景と、牧歌的な空気・・・ここにいるだけで、自然と心が洗われていることに気づくはずです。

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