【日本カレー紀行】神保町の老舗洋食店で味わう美しき褐色のカレーと香ばしいカツの競演 / 「キッチン南海」のカツカレー
|様々な書店が集まり、本の街として知られる東京・神保町。本だけでなくもう1つ有名なものがこの街にはあります。
そう、それはカレー。
神保町にはカレーの専門店だけでも30店舗はあると言われており、カレー好きの方からは「カレーの聖地」と呼ばれています。
例えば、神保町で最も古いカレー店「共栄堂」で味わう極上のスマトラカレーに、あのタモリさんも絶賛したジャズオリンパスの赤いチキンカレー、そして常連からこよなく愛されている「エチオピア」のチキンカレーや、神保町で密かな人気となっている「チャボ」のホワイトカレー、そして深いコクでヤミツキになるほど美味しい鴻(オオドリー)のスープカレーなど、多くのカレー店が軒を連ねています。
また神保町で人気を二分すると言われる欧風カレーの名店、「ボンディ」と「ガヴィアル」があることからも、神保町がカレーの町として知られている理由の1つでしょう。
実はそんなカレーの名店ひしめく町・神保町に忘れてはならない名店がある事をご存知でしょうか?
それが今回ご紹介する「キッチン南海」です。
・キッチン南海とは?
こちらのお店、1960年(昭和35年)に東京都千代田区飯田橋で創業し、1963年(昭和38年)に今の神保町に移転したのがはじまり。
店名は創業者が、いまはチームとして存在していない南海ホークスのファンであったことに由来しています。そのため、チームカラーの緑色が店の看板にも使われています。
こちらのお店で修行された方が、独立・暖簾分けされて、東京都内を中心に各地で「キッチン南海」を運営していることからも、この神保町のキッチン南海は、まさしく本店といえるでしょう。
・絶対に味わっておきたいカツカレー
こちらのお店で味わう洋食メニューはどれでも絶品で美味しいのですが、やはりカレーの聖地・神保町と言えば必ず名前が挙がるほど有名なキッチン南海のカツカレーをまずはチョイスしましょう。
注文を受けてから揚げられるアツアツ・サクサクのカツは、どこまでもジューシー。
そしてたっぷりのキャベツに、ゆっくりと丁寧に注がれる、滑らかなカレールー。
そのカツカレーそのものに、美しさすら感じるほどのフォルムです。
香ばしい香りと肉の強いコクを感じるルーはそれだけでもウマミたっぷり。そしてウマミを感じ終わったタイミングで程よいスパイスの辛みが、口の中をさわやかに駆け抜けていきます。
もちろんライスやカツとあわせて味わえば絶品である事は言うまでもないでしょう。
1960年(昭和35年)と言えば、日本でカラーテレビの本放送開始が始まり、東京都内では都営1号線(押上駅-浅草橋駅間)が開業したばかりの時代。
そしてこの年、日本にとって平和をもたらす重要な条約が締結されます。
それが1951年に締結された日米安保条約を更新する形で締結された「日米相互協力及び安全保障条約」。
この条約は、日本とアメリカの集団的自衛を定めるもので、日米のどちらかが武力攻撃を受けた場合、アメリカ軍と自衛隊とが共同して軍事行動をとることが決められました。
この条約は新安保条約と呼ばれ、この条約締結には大規模な反対運動が起こりました。国会内では、社会党や共産党が、審議拒否・座り込みなどの国会闘争が発生し、また国会の外でも、学生などが大規模な集団デモをおこないました。
死者が出るほどの大混乱の末、成立した「日米相互協力及び安全保障条約」は、賛否両論あるのかもしれませんが、その後の日本の平和な日々を支えてくれている1つのシステムとして現在も機能しています。
そんな激動の時代に生まれた丁寧で美味しい洋食が味わえるお店「キッチン南海」で、美しいカツカレーを味わってみてはいかがでしょうか?
そんな美味しい味わいに出会える奇跡に、そして平和な世の中に、感謝の念すら覚えるに違いありません。
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お店 キッチン南海 神保町店
住所 東京都千代田区神田神保町1-5
営業時間 11:15~16:00 / 17:00~20:00
定休日 日曜・祝日