シャガールのステンドグラスも!フランス随一の格式を誇る世界遺産ランスのノートルダム大聖堂

シャンパンの本場、フランス・シャンパーニュ地方の中心都市・ランス。ここにフランス随一の格式を誇る、世界遺産の大聖堂があります。

街の中心部に建つノートルダム大聖堂は、シャルトル大聖堂やアミアン大聖堂と並び称される、フランスにおけるゴシック様式の傑作のひとつ。

フランスのノートルダム大聖堂といえばパリの大聖堂が有名ですが、かつてフランス王はここで戴冠式を行わなければ正式な王とはみなされなかったというくらい、ランスのノートルダム大聖堂は特別な存在だったのです。

13世紀はじめ、カロリンガ王朝の旧バジリカ式大聖堂の跡地に着工され、途中百年戦争による工事の中断などもあり、ようやく完成を見たのは15世紀後半になってからのことでした。

見る角度によって表情を変える、その巨大な姿はさすがの迫力。あまりの大きさに、角度によってはその全体像がカメラに収まりきらないほどです。

正面から、横から、後から、さまざまな位置からその威容に感じ入ってみましょう。

ほぼ完璧に近い左右対称性を誇る、均整のとれたファサードは圧巻の存在感をたたえています。

正面中央扉右側の4体の立像はゴシック最盛期の傑作との呼び声高く、「微笑む天使」「マリアの従者」「聖ヨゼフ」などの彫像も見事。「微笑む天使」はゴシック様式の彫刻としては、最も有名なもののひとつです。

彫像一つひとつは下から見上げるとそれほど大きくは見えませんが、大きなものは大人の身長をゆうに超える高さがあります。

ファサードに近づいてみると、正面扉の上、ファサードの中央部分がひときわ明るい色をしていることに気づくことでしょう。美しい彫刻の数々を伴ったファサードの姿がこうして見られるようになったのは2016年のこと。

第一次世界大戦下、この大聖堂はドイツ軍の空襲や砲撃により壊滅的な打撃を受け、多くの彫像やステンドグラスの半分以上が失われてしまったのです。終戦後にランス出身の建築家、アンリ・ドゥヌ主導のもとで再建が行われ、1938年にふたたび一般開放されました。

しかし、戦災によるダメージはまだ完全に消えたわけではなく、また経年劣化もあって、現在も修復作業が続けられています。

奥行きおよそ138メートル、幅30メートル、高さ38メートルを誇る壮大な大聖堂内部は、芸術作品の宝庫。太い柱が連なる荘厳な空間には、生きを呑むほどの静謐な空気が流れています。

正面入口のほうを見れば、近年修復が完了したばかりの美しいバラ窓が宝石のようなきらめきをたたえています。

側廊にはめ込まれたステンドグラスのなかには、シャンパン製造業者によって寄贈された、シャンパンの製造過程を描いたものも。さすがシャンパンの本場、ランスの大聖堂ならではのステンドグラスですね。

そして、もっとも来訪者の熱い視線を集めているのが、後陣の最奥にあるシャガールが手がけたステンドグラス。

一度でもシャガールの作品を目にした人ならひと目でそれとわかる、強烈な個性と存在感を放っています。太陽が降り注ぐ海を思わせるような、深く明るい色使いが印象的で、ずっと眺めていたくなるほど。

これらは13世紀の技法を用いて1974年に完成したもので、信心深い家庭で生まれ育ったシャガールは、ほかにもアメリカやイギリス、ドイツ、イスラエルなどに聖書をモチーフにしたステンドグラスを残しています。

中世から現代にいたるまでの芸術が詰まった、世界遺産・ランスのノートルダム大聖堂。戦禍に見舞われながらも、荘厳な美しさを取り戻したその姿に会いに出かけませんか。

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