揚げ時間なんと20分以上!300gの巨大でジューシーなトンカツが味わえる名店、東京・荻窪「たつみ亭」
|香ばしいラードの香りに、サクサクの衣。ジューシーな肉のウマミと脂の競演。ソースをたっぷりとかけてアツアツのご飯と一緒に頬張れば……
そんな料理の味わいを想像するだけで唾液が溢れてくる料理の1つと言えばトンカツだ。
日本全国に数多のトンカツ店があり、そのお店そのお店が独自の工夫を凝らしており、一番美味しいトンカツを決める事は難しいに違いない。
例えば、蒲田の名店「丸一」や同じく蒲田で人気の「檍(あおき)」、そして浅草橋の「丸山吉平(まるやまきっぺい)」などは、林SPFという豚肉ブランドを知っている方からすれば、当然おいしいトンカツ店と言えるだろう。
また、東京・秋葉原の名店といえば「丸五(まるご)」であるし、トンカツ発祥の地といえば、東京・銀座の煉瓦亭(れんがてい)である。さらには、ミシュランの星を獲得した絶品のトンカツを味わえるお店、世田谷区玉川の「大倉」も捨てがたい。
もちろん東京だけではない。
例えば、広島のソウルフードの1つといってもいいほどの名店「肉のますゐ」のトンカツに、長野県木曽町にひっそりとたたずむ「しらかべ」のパンケーキのようなトンカツ、そして新潟タレかつ丼発祥の店、新潟県・新潟市「とんかつ太郎」など、全国に目を向ければ、数え上げる事すら難しいのだ。
そんな数あるトンカツの名店の中から、今回は荻窪の名店と呼ばれるほどのお店をご紹介したい。
お店の名前は「たつみ亭」。
・荻窪の方々に愛される地域密着のお店
こちらのお店、他の多くの行列店とは違い、地域の人々に寄り添う名店。
美味しいトンカツをお腹いっぱい食べてもらいたい、そんな店主の心意気を感じる事が出来るお店だ。
その証拠に、ランチタイムで挙げられているメニューは、消費税込みですべて1000円以下。
そんな店主の優しさが溢れる美味しいトンカツのこだわりはお肉。
お店の外側にも書かれているとおり、こちらのお店のお肉はすべて国内産のSPF。
SPFとは、「Specific Pathogen Free」の頭文字で、特定の病原菌を持たない、という意味。
SPF豚は、特定の病原菌を持たない状態で飼育されているため、健康であり、また、抗生物質などの薬剤の使用も少ないのが特徴。
それによって豚肉特有の臭みが少なく、筋肉繊維の間の脂肪が多い上に筋繊維も細かく、加熱しても非常に柔らかいのが特徴となっている。
こちらのお店、そんな極上の豚肉である国産のSPFを使用している上に、さらに店主みずからが納得したお肉が入荷できなかった場合は、なんと「お店を閉めてしまう」というこだわりようなのだ。それゆえ、お店の休みは不定休となっている。
まさに、店主の美味しいトンカツをお腹いっぱい食べてもらいたいという気持ちが伝わるお店とはこのことだ。
・揚げ時間20分以上!絶対に味わっておきたい「上トンカツ」
そんな店主の作り出すメニューは全ておススメなのだが、中でも特筆しておきたいのが「上トンカツ」。
巨大な肉のかたまりと言って良いほどの大きさ、約300gもある巨大な豚肉を、20分以上かけてゆっくりと揚げるのが、こちらのお店のシグネイチャー・トンカツと呼びたい「上トンカツ」だ。
店主みずからが店内の冷蔵庫で熟成させているパンをパン粉として使った、トンカツの衣は外側はカリカリ・サクサクと衣だけでもウマミを感じる事が出来る。
そして、内側はどこまでもジューシーで、たっぷりとしたコクを味わえる上に、非常に柔らかく、豚肉本来のウマミを堪能できる味わい。その素晴らしさは、トンカツというよりも、まるで焼き上げた小籠包のような豚肉本来の味わいを楽しめる逸品となっている。
さらに特筆したいのが、切り方。
脂と肉のウマミをたっぷりと味わえるロースのような部分と、SPF豚のもつ柔らかい甘みとサッパリとしたウマミを味わえるヒレのような部分とを1つのお皿で両方とも味わえるように表現がなされている。
脂と肉のウマミをたっぷりと味わえるロースのような部分は、たっぷりとソースをつけて味わうもよし、
SPF豚のもつ柔らかい甘みとサッパリとしたウマミを味わえるヒレのような部分は、レモンと塩とであっさりと味わうもよし、
いま自分はトンカツを味わっている、そんな感覚をまざまざと見せつけられる、そんな提供方法にも感動を覚えてしまう。
・最高の脇役たち
もちろんトンカツの素晴らしさというものはトンカツだけではない。
ご飯や味噌汁、そして漬け物に至るまで、それらの調和によって、美味しいトンカツを最高の状態で味わえるのだ。
ご飯は新潟の店主ならではの気のくばりよう。
たっぷりとソースとマスタードをつけてご飯の上にのせて味わえば、えも言われぬ幸せが待っている。
さらに特筆したいのが、こちらのお店の味噌汁。
味噌汁にはたっぷりの具材が入っており、豚汁となっているのだ。
味噌汁も、作りっぱなしのものではなく、提供の度に味噌を溶いて仕上げているため味噌の香り高い逸品になっており、これだけでもご飯がススム味わいだ。
さらに葱と大葉の香りが効いているため、トンカツで少し脂っぽくなった場合は、口の中をさっぱりとさせてくれる。
また、漬け物は少し発酵がすすんだ酸味のある味わい。そのため、こちらもトンカツで少し脂っぽくなった場合は、口の中をさっぱりとさせてくれる。
もちろん千切りにされたキャベツも名脇役となっているし、
卓上の調味料のラインナップも秀逸だ。
店主のこだわりが随所に感じられる、地元密着型のトンカツ店「たつみ亭」、荻窪に行くのであれば、ぜひ訪れたいお店の1つである。
きっとそこには店主が訪れる人に提供したいという素晴らしい料理があるだけでなく、味わいひとつひとつにすら優しい気持ちを感じる事ができるにちがいないのだ。
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お店 たつみ亭
住所 東京都杉並区上荻1-10-4
営業時間 11:30~14:30 / 17:00~21:00
定休日 不定休(肉の仕入れに依存するため不定休)