【世界の街角】現代と古代が隣り合う奇妙な街、ブルガリア・プロヴディフの古代遺跡をめぐる

ブルガリア第2の都市・プロヴディフ。6000年前にさかのぼる古い歴史をもつ街だけあって、新旧の建造物が融合した独特の風景が魅力です。

紀元前19世紀にはすでにトラキア人の集落があり、その後ローマ帝国、ビザンツ帝国、第1次・第2次ブルガリア帝国、オスマン朝と、さまざまな文明が栄えたことから、トラキア人が築いた要塞跡、ローマ時代の遺産、ビザンツ帝国の遺跡、オスマン朝が残した建造物や民族復興様式の邸宅にいたるまで、あらゆる時代の建造物がひしめき合っています。

現代の風景のなかに突如として現れる、プロヴディフのユニークな古代遺跡を訪ねてみましょう。

・ローマ劇場跡

プロヴディフを代表する古代遺跡が、旧市街の断崖に建設されたローマ劇場跡。

2世紀に造られたローマ時代の半円形の劇場で、当時は5000人を収容できる28段の観客席がありました。現在は3000人を収容する20段ほどの客席が残っています。

プロヴディフの市街地から、遠くはロドピ山脈までを一望する絶好のロケーションで、観客席に立つとなんともいえない解放感が味わえます。ブルガリアにこれほど立派なローマ劇場跡があったとは!

イオニア式の美しい列柱や、皇帝あるいは神と見られる彫像も残っており、保存状態も良好。現在もオペラやコンサートが上演される現役の劇場として活躍しています。

・ローマ競技場跡

新市街のリムスキ・スタディオン広場にあるのが、やはり2世紀に建設されたローマ競技場跡。繁華街のど真ん中の地下にある珍しいローマ遺跡で、すぐ近くに建つイスラム教のモスク、ジュマヤ・ジャーミヤをはじめとする周囲の建物とのコントラストが奇妙です。

現在は観客席の一部しか残っていませんが、当時は長さ240メートル、幅50メートルもの大きさがあり、3万人もの観客を収容することができました。広場から見下ろすこともできますが、そばの階段を降りると観客席まで入ることができます。

かつてここで短距離走や円盤投げ、二連戦車レースなどの競技が行われていたことを想像すると、なんだか不思議な気分。観客席の向かいには落ち着いた雰囲気のカフェもあるので、ここで一息ついてみるのもおすすめです。

・ネベット・テぺ

プロヴディフに残るもうひとつの代表的な遺跡が、旧市街の北端にあるネベット・テぺ。紀元前4世紀にトラキア人が要塞を築いた場所で、現在は土台のみが残る岩だらけのワイルドな光景が広がっています。

なんといってもここはプロヴディフを一望する絶好のビュースポット。丘に囲まれ、茶色い屋根の家々、モスクや教会の塔が顔をのぞかせるプロヴディフの情緒あふれる風景が楽しめます。

ブルガリア第2の都市にして、古代の遺跡が点在するプロヴディフ。現代の街並みに歴史の遺産が見事に溶け込んだ風景は、私たちのロマンを掻き立ててやみません。

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