【日本麺紀行】いまでは定番メニュー・つけ麺のルーツはココ!あの山岸一雄が修行したお店、荻窪の「丸長中華そば店」
|個人経営のお店を中心に、個性溢れる飲食店が並ぶ東京・荻窪エリア。
例えば、最高のタンメンを味わえるお店として熱狂的なファンも多い「はつね」や、隠れ家的な中華店として多くの著名人もお忍びで通う「ジョカサア」、さらには鶏油で揚げた本物の唐揚げを堪能できる「鳥よし」、そして全品ほぼオール170円の最高のイカ専門立ち呑み居酒屋「やきや」、そして300gの巨大でジューシーなトンカツが味わえる名店「たつみ亭」など、東京の他のエリアではなかなかお目にかかれない味わい深いお店が所狭しと集まっています。
そんな荻窪エリアに、いまでは全国誰もが知る麺の定番メニューとなった「つけ麺」のルーツとなっているお店がある事をご存知でしょうか?
それが今回ご紹介する荻窪の「丸長中華そば店」です。
・戦後の闇市から生まれた荻窪のラーメン
荻窪といえば、戦前は近衛文麿が重要な会談を行った「荻外荘」や、角川書店の創立者である角川源義の自宅があった高級住宅地。
と同時に、戦前は中島飛行機荻窪工場があった場所。
この工場跡地は第二次世界大戦後は変遷を経て、1966年(昭和41年)に日産自動車荻窪工場が開設され、宇宙航空事業部の開発・生産拠点となり、現在は桃井原っぱ公園として杉並区民の憩いの場、防災の場所となっています。
そんな戦後の混迷期に荻窪に勃興したのが闇市。
今の荻窪駅周辺には多くの闇市が生まれ、そこで生まれたのが今でも多くの人々を魅了する、昔懐かしい醤油味の荻窪ラーメンです。
・来年で創業70年、荻窪を代表するラーメン店、それが「丸長中華そば店」
そんな歴史のある荻窪に、第二次世界大戦が終結した1945年の3年後である1948年(昭和23年)に産声をあげたお店こそ、「丸長中華そば店」。
こちらのお店は、長野の蕎麦職人だった青木勝治氏を中心として合計5名の有志が開業した中華そば店。
お店が歴史を紡いでいくとともに、創業時のスタッフはそれぞれ独立し、荻窪丸信、中野栄楽、荻窪栄龍軒、中野大勝軒と、新しい場所でおいしい荻窪の味わいを提供していく事になります。
そんな荻窪を代表するラーメン店で修行した人物の1人が、あのつけ麺で有名な故山岸一雄氏。
実はこのお店で、まかないとして出されていたつけそばがルーツとなって、大勝軒のつけ麺が生まれたと言われています。
・オーダーしたいオススメは、チャーシューつけそば
そんなつけ麺のルーツともいわれるのが、「丸長中華そば店」のつけそば。
メニューにはさまざまな「つけそば」がありますが、なかでも味わっておきたいのがチャーシューつけそば。
つやつやした麺と、チャーシューで全体を覆われているつけダレは、それだけで食欲がわいてきます。
まずは、チャーシューとメンマを寄せて、麺をつけられるスペースを作りましょう。
そうしたら、そこにおもむろにツルツル・シコシコの麺を投入します。
ひとくち啜り込めば、美味しい丸長タイムの始まりです。
ツルツル・シコシコの麺のウマミ、そして甘みと酸味、そして醤油ダレとスパイシーな黒こしょうの刺激的な味わい、そして魚介系のパンチのある味わいが、渾然一体となって口の中で爆発していきます。
麺のうまさと、つけダレの味わいを楽しんだのなら、そこにチャーシューとメンマを加えて、すべてをいっしょに味わってみましょう。
麺と同じような同じ大きさに切りそろえられたチャーシューとメンマは、まずは食感の違いを楽しむ事ができます。
そしてもちろん、チャーシューのおいしい味わいと、しっかりと煮込まれたメンマのおいしい味わいが、完成された味わいにプラスされるので、劇ウマである事はいうまでもありません。
日本の激動の歴史から生まれたともいえる、歴史ある東京のローカルフード、荻窪ラーメンとつけそば。
時間がいくら経っても色あせない、その美味しい味わいを楽しむ旅にでかけてみてはいかがでしょうか?
きっとそこには、美味しいだけではない、食べた人にしか分からない味わいがあるに違いありません。
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お店 丸長中華そば店
住所 東京都杉並区荻窪4-31-12
営業時間 11:00過ぎ ~ 15:00
定休日 水曜・第3日曜