【世界の絶景】目を疑うような断崖絶壁の町、スペイン・ロンダ
|スペイン南部・アンダルシア地方に、思わず目を疑うような断崖絶壁の町があります。
それがロンダ。セビーリャやグラナダ、コルドバなどに比べると日本での知名度は低いものの、スペイン人のあいだでは人気の高い観光地です。
グアダレビン川の浸食によってできた峡谷の上に築かれたロンダの町のシンボルが、ヌエボ橋。18世紀に完成した石橋は、谷をまたいで旧市街と新市街をつないでいます。
橋周辺の風景が目に入った瞬間、誰もが息を呑みます。垂直に切り立った巨大な岩山の上に、張り付くようにして白い家々が並んでいるのです。
波打つような模様を描き、今にも岩の巨人と化して動き出しそうな岩山の迫力に、ただただ圧倒されるばかり。
橋の高さはおよそ100メートル。その下には深い谷が待ち受けていて、こんなところに町を造ったことに驚かずにはいられません。
右を見ても左を見ても、やはり奇岩の上に白い家々が並ぶ光景が広がっていて、大自然のもつエネルギーに圧倒されてしまいます。
ヌエボ橋を渡った先が、歴史的建造物が集中する旧市街。
ヌエボ橋を渡り切った後、左手の坂道を降りていくと16世紀のイスラム支配時代に造られたビエホ橋があります。
「ビエホ」はスペイン語で「古い」、「ヌエボ」は「新しい」という意味。「ヌエボ橋(新しい橋)」という名前は、このビエホ橋との対比から付けられたのです。
このあたりにやって来ると、旧市街を囲む城壁が目に入り、ここが天然の要塞ともいえる地形を強化した堅固な城塞都市であったことがわかります。
ビエホ橋のほど近くにある見どころが、アラブ浴場。13世紀から14世紀にかけて作られたイスラム時代の浴場跡で、スペインに残るアラブ浴場としては比較的規模が大きく、保存状態も良好です。
エキゾチックな馬蹄形のアーチが並ぶ浴場の天井には、採光を兼ねた星形の空気孔が開いていて、とても幻想的。数世紀も前にここで入浴を楽しんでいたイスラム教徒たちがいたことを想像すると、不思議な感慨に包まれます。
またヌエボ橋の付近まで戻ったら、今度はヌエボ橋から真っすぐに延びるメインストリート、Arminan通りを先へと進みます。ロンダの町並みは、真っ白な建物のあいだにレンガ造りの建物が点在していて、アンダルシアらしい開放感と重厚感が同居した雰囲気。
旧市街の奥のほうまでやってきたら、ひときわ大きな教会が建つ賑やかな広場が待っています。
ここに建つサンタ・マリア・ラ・マヨール教会は、ロンダの守護聖人を祀る重要な教会で、15世紀から16世紀にかけて、モスクの跡地に建設されました。外観は派手ではありませんが、バロック様式の祭壇をはじめ、豪華な芸術作品で埋め尽くされた教会内部は見ごたえ抜群。
近代闘牛述の創設者、フランシスコ・ロメロの生誕地としても知られるロンダは闘牛の本場でもあります。町の中心部には、スペイン最古の闘牛場のひとつに数えられる1785年建設の闘牛場があり、毎年9月には闘牛祭が開催されます。
18世紀にロンダで生まれたフランシスコ・ロメロは、牛をけしかける赤い布「ムレータ」を考案し、今日に引き継がれている近代闘牛術を確立しました。普段、闘牛場は博物館として公開されていて、スペインを旅してもなかなか立ち入る機会の少ない闘牛場を見るチャンス。
直径約66メートル、およそ5000人を収容するという闘牛場の観客席に座ったとき、観衆の声援を受けて登場する闘牛士の姿が見えたような気がするかもしれません。
おもな見どころを周るだけなら、マラガやセビーリャからの日帰りもできるロンダですが、ゆっくりと滞在してハイキングなどを楽しむのもおすすめ。ライトアップされた夜のヌエボ橋も見ものです。
ダイナミックな自然と、イスラム教徒が残した遺産、そしてキリスト教徒が新たに築いた町並みが一体となった町、ロンダ。その風景はきっとあなたを新鮮な驚きと感動で包んでくれることでしょう。
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