【世界の絶景】モロッコのなかのアンダルシア、世界遺産の白い町・テトゥアンのメディナを散策

モロッコ北部、リフ山脈のふもとに広がる小さな町、テトゥアン。城壁に囲まれたメディナ(旧市街)は「テトゥアン旧市街」としてまるごと世界遺産に登録されています。

テトゥアンの風景をひと目見れば、かつてイスラム王朝の都であったフェズやマラケシュの町並みとは違う、ヨーロッパ的な香りを感じることができるでしょう。

地中海地方の青い空に映えるテトゥアンの真っ白な町並みは、「モロッコのアンダルシア」とも呼ばれています。

テトゥアンにアンダルシア風の町並みが生まれた理由。それは、このメディナがスペインのアンダルシア地方から逃れてきた人々によって造られたからです。

1492年のグラナダ陥落で、イベリア半島におけるレコンキスタ(国土回復運動)が完成。キリスト教徒から追放や迫害を受けたイスラム教徒やユダヤ教徒がこの地に逃げ込み、城塞都市を築いたのです。

その後20世紀前半にはスペイン領になったこともあり、現在もスペインとモロッコの文化が入り混じった独特の異国情緒を漂わせています。

テトゥアンの中心地が、ハッサン2世広場。ここが新市街とメディナの境目で、広場の西に新市街が、東にはメディナが広がります。

ハッサン2世広場に面して、17世紀に建てられたスペインとイスラムの建築様式が融合した王宮が堂々とした姿を見せています。

メディナに足を踏み入れると、狭い通りの両側に白壁の家々が並ぶアンダルシア風の町並みが目に飛び込んできます。

真っ白な壁とカラフルなペイントとのコントラストが美しく、ヨーロッパとイスラムの文化が融合したエキゾチックな風景はおとぎの世界を思わせます。

細い路地が複雑に張り巡らされたメディナはまさに迷路。モロッコの迷宮都市といえばなんといってもフェズが有名ですが、テトゥアンのメディナには目印になるようなメインストリートがないので、「テトゥアンのメディナのほうが迷いやすい」という旅行者もいるほどです。

テトゥアンのメディナがモロッコにあるほかの世界遺産のメディナと大きく違うのは、テトゥアンのメディナはほとんど観光地化されていないこと。

観光客向けのレストランや土産物屋は圧倒的に少なく、商売のほとんどが地元の人向けに成り立っています。そのため、世界遺産でありながら、モロッコの人々の昔ながらの暮らしを身近に感じられる貴重なスポットであるといえるでしょう。

メディナ散策の醍醐味がスーク(市場)めぐり。テトゥアンのメディナには、エリアごとに食料品のスークや、陶器のスーク、木工のスーク、革製品のスーク、貴金属のスークなどに分かれています。

卵や野菜、魚といった生鮮食品の露店があったかと思えば、リフ地方特有の飾りのついた麦わら帽子を売る店、道端で作業をする木工職人・・・

町並みはアンダルシア風でも、こうした光景はまさにモロッコ。万華鏡のようにくるくると変化する風景にはこの土地での暮らしがよく表れていて、観光客向けのメディナにはない面白さがあります。

「おしゃれなショップやカフェがたくさんある観光客向けのメディナもいいけれど、ディープな雰囲気が漂うモロッコのローカルなメディナが見てみたい」、そんな人にぴったりなのが、ここテトゥアンのメディナなのです。

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