ヨーロッパ唯一の野生の猿の生息地、ジブダルタルの「ザ・ロック」の猿たちに会ってきた

イベリア半島の南東端、地中海の要衝に位置するジブラルタル。

ヨーロッパでは有名な存在であるものの日本人には馴染みが薄く「ジブラルタル?そういえばそんな名前の保険会社あったっけ」という反応が返ってくることも・・・

ジブラルタルは、その戦略的重要性から数百年にもわたって領有権争いの舞台となってきた土地です。1713年のユトレヒト条約でイギリスに統治権が与えられて以来、現在もイギリス領として独自の存在感を発揮しています。

ジブラルタルを有名な存在にしているもののひとつが、猿。

日本人からすれば「なんだ、猿か」と思ってしまうところかもしれませんが、ジブラルタルはヨーロッパにおける唯一の野生の猿の生息地なのです。

ヨーロッパでは貴重な野性の猿たちが暮らす場所が、ジブラルタルを象徴する岩山「ザ・ロック」。正式には「ターリクの山」と呼ばれます。711年にイベリア半島に侵入したアラブの首相がここをターリクの山と名づけ、それがなまって「ジブラルタル」になったのだとか。

見る者を圧倒するザ・ロックは、古来からギリシア神話に登場するヘラクレスの柱のひとつと考えられてきました。かつてはその地形の厳しさから人を寄せ付けない山でしたが、今ではハイキングルートやロープウェーが設置され、多くの観光客が訪れるスポットとなっています。

今回筆者は、ロープウェーを使ってザ・ロックの山頂まで行ってみました。

ジブラルタルの町のほぼ真ん中にあるロープウェー乗り場から、いざ標高426メートルの山頂へ。

なお、ロープウェーのチケット売場は行列ができていることが多いので、事前にジブラルタルのウェブサイト「Gibraltarinfo」であらかじめチケットを購入しておくことをおすすめします。

ロープウェーが出発するとみるみる地上の風景が遠ざかり、険しい岩山へと近づいています。

6分の空中散歩ののち、ロープウェーは山頂駅へと到着。

すると、さっそくジブラルタル名物の猿が待ち構えていました。

見た目は少しニホンザルにも似ているこの猿たち。9世紀にアフリカからアラブ人が持ち込んだのがはじまりと言われていて、「岩山に猿がいる限り、イギリスの統治が続く」という言い伝えがあります。

そんな言い伝えもあってか、猿たちはイギリス軍によって保護されていて、我が物顔で岩山を歩き回る主と化しています。

展望台からは、スペインのアンダルシア地方や晴れた日にはアフリカ大陸までをも見渡す絶景が。

山頂から見るザ・ロックのあまりの迫力には、誰もが圧倒されずにはいられません。

そんな展望台にも、やはり猿の姿。

まるでアイドルかのように観光客に囲まれ、写真を撮られています。ここの猿たちの多くは人に馴れていて、近づいてもあまり逃げません。そのため、猿と一緒にツーショットを撮ったり、猿を肩に載せたりしている観光客もいるほど。

しかし、油断は禁物。ビニール袋には食べ物が入っているらしいことを学習しているようで、たとえ食べ物が入っていなかったとしてもビニール袋を持っている人は高確率で襲われます。バックの中にしまっていても、外から袋が見えていれば猿は目ざとくそれを見つけ、奪おうとしてくるので要注意。

展望台の周辺の遊歩道にも大小の猿たちの姿が見られます。

無邪気に遊ぶ子猿たちは本当に可愛いですね。

ときどき人を襲いながらも、ジブラルタルのシンボルとしてアイドル並みの人気を誇っているザ・ロックの猿たち。日本ならばどうということもない存在の猿ですが、やはり「ヨーロッパ唯一の野生の猿」という希少性が彼らをより特別な存在にしているのでしょうか。

展望台のショップでは猿にちなんだグッズも販売されているので、ザ・ロックの猿に出会った記念に、なにか買ってみてもいいかもしれません。

「Gibraltarinfo」
http://gibraltarinfo.gi/en/cable-car-3/