モロッコの世界遺産の町・ラバトにある「ウダイヤのカスバ」で歴史と絶景探訪
|モロッコの首都・ラバトはモロッコ中部の大西洋に面した港町。
ヨーロッパの香りを感じる近代的な新市街と、アラブ情緒漂う混沌としたメディナ(旧市街)は、ともに「ラバト:近代都市と歴史的都市が共存する首都」として世界遺産に登録されています。
旧市街がまるごと世界遺産に登録されている例は数あれど、旧市街と新市街がともに世界遺産に登録されている町は意外と少ないものです。
行政の中心らしく落ち着いたたたずまいをもつラバトで、最も美しい風景が楽しめるスポットが「ウダイヤのカスバ」。もちろんここも世界遺産地区の一部です。
ウダイヤのカスバは、タリク・アル・マルサ通りをはさんでメディナの北に位置する城塞地区。ムワッヒド朝時代に築かれた城壁を利用して、17世紀にムーレイ・ラシッドによって造られました。
現在の呼び名は、18世紀に気性の荒いウダイヤ・アフブ族の軍隊をここに駐屯させたことからついたものです。
彼らは13世紀にモロッコに侵入し、モロッコ各地を荒らしまわった後、ラバトに腰を落ち着けました。当時アラウィー朝のスルタンだったムーレイ・イスマイルは、ラバト周辺で暴れていたザエル族の進入を防ぐために、ウダイヤ・アラブ族にラバトの防衛を託したのです。
幅が2.5メートル、高さが8~10メートルもあるという城壁は、まさに「堅牢」という言葉がぴったり。近代的に整備された周囲の風景とのコントラストがその巨大さを強調し、見るものを圧倒する迫力があります。
このエリアの見どころの一つが、ウダイヤ庭園。スペインのグラナダにあるアルハンブラ宮殿の庭にも似た造りで、アンダルシア庭園の傑作のひとつといわれています。ゆったりとした時間が流れる庭園を歩いていると、ここが首都の真ん中であることを忘れてしまいそうです。
地元の人々の憩いの場にもなっている庭で、しばし休息の時間を過ごしてみては。
驚いたことに、ウダイヤ庭園の北側には、入り組んだ坂道が張り巡らされた町が広がっています。モロッコで「カスバ」というとき、城砦そのものを指す場合もありますが、ウダイヤのカスバは城壁に囲まれた町全体を指すのです。
白と青で統一された家々が並ぶカスバの内部は、ラバトのほかのエリアとは隔絶された別世界。何気ない風景がとても絵になり、写真好きにはたまりません。
メルヘンチックな町並みを楽しみながら、高台にある展望台を目指しましょう。
海に面したカスバの先端に位置する展望台は、ゆったりとした広場。オレンジジュースの屋台には現国王・ムハンマド6世の写真が掲げられていて、モロッコらしさ満点です。
ここからは、夏になると海水浴客でにぎわうビーチや、ブーレグレグ川をはさんでラバトと向き合う町・サレが見渡せ、港町ならではの開放感が存分に味わえます。
カスバを後にしたらタリク・アル・マルサ通りを南下して、城壁で囲まれた白い町並みが見渡せるビーチへ降りてみましょう。水上に浮かぶ島のように、大西洋に突き出した城塞都市の風景はなんともフォトジェニック。
すぐ横には港に停泊するダウ船を改装したおしゃれなレストラン「ル・ドウ(Le Dhow)」があり、ここでランチやドリンクを楽しむのもいいでしょう。
歴史を感じるスポットあり、絶景ありのウダイヤのカスバ。ここを歩けば、きっとラバトという町がもつ表情の多彩さにすっかり魅了されてしまうはずです。
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