古城に世界遺産、本物の中世が息づくルーマニア・トランシルヴァニア地方の魅力
|ラテン語で「森の彼方の国」という意味をもつトランシルヴァニア。
現ルーマニアの一部で、カルパチア山脈に囲まれたこの地域は、ローマ帝国崩壊後、ハンガリー王国や、オスマン帝国、オーストリア帝国の一部となったために、ルーマニア人やハンガリー人、ザクセン人など多様な民族が共存してきました。
今も古き良きヨーロッパの雰囲気が残るトランシルヴァニアは、まさにルーマニア観光のハイライトといえるでしょう。
首都ブカレストからのアクセスが良く、旅行スケジュールが組みやすいのもポイント。そんな知られざるルーマニア・トランシルヴァニア地方の魅力をお伝えします。
・中世の面影を残す町々
まるで時が止まっているかのようなトランシルヴァニア地方には、中世の面影を残す美しい町が点在しています。
「ルーマニアの宝石」と称えられる世界遺産の町・シギショアラや、トゥンパ山のふもとに広がる古都ブラショフ、東西の交通の要衝として栄えたシビウをはじめとする町々を歩けば、今も中世の息づかいが聞こえてくるかのよう。
南トランシルヴァニアの村々にたたずむ、ドイツ人やハンガリー人の文化や建築様式を反映した要塞教会をたずね歩くのもいいでしょう。
この地方独特の建築物として、ビエルタン、クリニク、ドゥルジウ、プレジュメル、サスキズ、ヴァレアヴィイロル、ヴィスクリの7つが世界遺産に登録されています。
・シビウ
東西の交通の要衝にあるシビウは、中世ヨーロッパの商業都市として栄えた古都。町の歴史は、ハンガリー王の要請を受けて12世紀にザクセン人が入植してきたことにはじまります。15世紀には各地から商人が集まる商業の拠点となり、19世紀にはこの地方の中心地になりました。
エレガントな風景と、どこかほっとするようなノスタルジックな風景が混在するシビウは、歩くだけで心癒される町です。
・ブラショフ
トゥンパ山とポスタヴァルル山のふもとに開けた古都ブラショフ。12世紀にドイツ商人によって築かれた町は、今もドイツの香りを感じさせます。
ブラショフのランドマークといえば、町の中心にそびえるトランシルヴァニア最大の後期ゴシック教会「黒の教会」。石造りの堂々たる外観が、ブラショフの町にどっしりとした重厚感を加えています。
町なかにある「白い塔」や、トゥンパ山の展望台からは、カルパチア山脈のすそ野に赤茶色の屋根が連なるブラショフの絶景が楽しめます。
・シギショアラ
時間が止まったかのようなトランシルヴァニア地方にあって、ひときわ中世の雰囲気を色濃く残している町がシギショアラ。
高台に城塞都市として築かれただけあって、中世の町並みがほとんどそのままに保存された旧市街は、「シギショアラ歴史地区」としてまるごと世界遺産に登録されています。
14世紀に建設されたランドマークである時計塔をくぐれば、そこは石畳の道にカラフルな建物が並ぶメルヘンの世界。ヨーロッパに「中世の町」と呼ばれる町は数あれど、シギショアラほど「タイムスリップ」という言葉が似合う町はそれほど多くはありません。
・美しき古城の数々
ルーマニアといえば、ドラキュラ伯爵を思い浮かべる人もいることでしょう。ブラショフ近郊のブラン村には、「吸血鬼ドラキュラ」に登場する城のモデルになったブラン城が実在します。
山の上にひっそりとそびえる堅固な城は、どこか神秘的な雰囲気を漂わせていて、物語の舞台にうってつけ。
「カルパチアの真珠」とたたえられる景勝地、シナイアには「ルーマニアで最も壮麗」といわれるペレシュ城があります。
緑のなかにドイツ・ルネッサンス様式の美しい城がたたずむ光景は、まさにおとぎの世界。外観もさることながら、豪華絢爛に装飾された城内も必見です。
・豊かな自然
山がちなトランシルヴァニア地方は、豊かな自然も魅力のひとつ。
氷河や丘陵、森、滝が織り成す自然の芸術で、冬にはスキーも楽しめるアプセニ自然公園や、野鳥保護区として有名なムレシュ川自然公園、氷河湖や滝、岩山などダイナミックな風景がに圧倒されるロドナ山脈自然公園など、大自然に触れられるスポットが数多くあります。
町の近くで気軽に自然に親しみたいなら、ブラショフ近郊のリゾート地、ボヤナ・ブラショフや、ロープウェイでのぼれるシナイアのブチェジ山などもおすすめ。
西ヨーロッパの先進諸国に比べると、あまり近代化の波が及んでいないからこそ、本物の中世の雰囲気や手つかずの自然が楽しめるルーマニア。
トランシルヴァニアは、そんなルーマニアの魅力を凝縮したかのような場所なのです。
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