英国王室の馬や金ピカの超豪華馬車に会える、ロンドンの「ロイヤル・ミューズ」
|エリザベス女王の居城としてあまりにも有名なロンドンのバッキンガム宮殿。
その一部をなす王室専用の厩(うまや)が「ロイヤル・ミューズ」です。世界でも最高峰の厩舎のひとつに数えられ、王室の馬たちの姿が見られるほか、王室の歴代の馬車や公用車などが展示されています。
興味深いのは、ここは観光スポットである以前に現役の王室の厩であり、敷地内には今も馬や馬車の手入れをする人々が暮らしていること。
英国王室の運営を陰で支える現場を垣間見るというユニークな体験ができるのです。
・王室の馬たち
ロイヤル・ミューズの厩舎は、1820年代、ジョージ4世の時代に造られたもの。200年前には100頭ほどの馬が飼育されていましたが、現在では、およそ30頭のうちの数頭が日常的に任務にあたっているといいます。
王室の馬は、伝統的に女王の馬車を引くウィンザーグレイと、女王以外の王族や外交官の馬車を引くクリーヴランドベイの2種類。
ほとんどの馬の名前は女王によって付けられるのだとか。王室の馬だと思って見るからでしょうか。美しく立派な馬たちには、気品さえ感じるような気がします。
・歴代の豪華な馬車
ロイヤル・ミューズには公式訪問やロイヤル・ウェディングなどの行事に使われてきた豪華な馬車の数々が展示されています。
そのひとつが、上部がガラス張りになっていることから名づけられた「ガラス馬車」。1911年に造られ、現在のエリザベス女王や故ダイアナ妃など、王室の花嫁が結婚式に向かう際に使われてきました。
2012年にエリザベス女王の即位60年を記念して造られた「ダイヤモンド・ジュブリー・ステート・コーチ」にも注目。
伝統を大切にした格調高い見た目でありながら、アルミニウム製の軽く強度が強い車体、暖房や自動窓、レーシングカーのデザイナーによって設計された車輪といった、クラシカルな外観とは対照的に、最新テクノロジーを取り入れた近代的な馬車に仕上がっています。
・特注の自動車
もちろん、現在の王室の公用車は馬車だけでなく、自動車も使われています。1901年にエドワード7世が初めて自動車を購入したのが王室における自動車のコレクションのはじまりで、現在は5台のリムジンがエリザベス女王によって使用されているそう。
ロイヤル・ミューズに保管されている最も古い自動車は、ロールス・ロイス・ファントムVI。自動車マニアにとってはたまらない名車が待っています。
・戴冠式で使われる盛装馬車「ゴールド・ステート・コーチ」
ロイヤル・ミューズに展示されているなかでも圧巻なのが、見学順路の最後に登場する「ゴールド・ステート・コーチ」。250年以上前にジョージ3世のために造られたもので、1820年のジョージ4世以来、歴代の王・女王の戴冠式で使われてきた現役の盛装馬車です。
すでに見てきた馬車の数々もじゅうぶん豪華なものでしたが、この「ゴールド・ステート・コーチ」の壮麗さは群を抜いています。
力強さと繊細さをあわせもつ彫刻の数々で覆われたこの馬車は、制作に2年が費やされたそう。ほぼ全面が金箔で覆われていて、250年前に造られたとは信じられないほどピカピカに輝き、見るものを圧倒します。
このステート・コーチが前回使われたのは、2002年のエリザベス女王即位50周年を記念して、女王とエディンバラ公がセントポール大聖堂の収穫感謝の礼拝に赴いたときのことでした。
映像や写真で見ることはあっても、なかなかその実物を見る機会の少ない王室の馬や馬車の数々。
日本語のオーディオガイドを借りてさまざまな背景を学びつつ、じっくりとその華麗なる世界を堪能してはいかがでしょうか。
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