【世界の街角】とんがり屋根の市庁舎が可愛いドイツ南部の街「ミッヒェルシュタット」

ドイツといえば、ミュンヘンやロマンティック街道などが有名ですが、日本ではほとんど知られていない小さな町を訪れれば、まったく違った「ドイツ体験」ができます。

そのひとつミッヒェルシュタットは、ドイツ南部・ヘッセン州のオーデンの森に囲まれた可愛らしい町。741年にはすでに文献に登場しており、この地域でも特に古い歴史をもつ町です。

中世の面影が残っているにもかかわらず、さほど観光地化されていないミッヒェルシュタット。歴史都市であると同時に、穏やかな時の流れが感じられるこぢんまりとした田舎町です。

ミッヒェルシュタットへのアクセスは、フランクフルトから鉄道で75~90分程度。もちろん、フランクフルトからの日帰り旅行も可能です。

ミッヒェルシュタットのシンボルとして知られるのが、マルクト広場に面して建つ後期ゴシック様式の市庁舎。オレンジがかったとんがり屋根と、こげ茶の木骨組みとのコントラストがとっても愛らしく、一度見ると忘れられなくなります。

ミッヒェルシュタットのこの市庁舎は、ヴェルニゲローデの市庁舎と、アルスフェルトの市庁舎とともに、ドイツに3つあるとんがり屋根の市庁舎のひとつ。市庁舎にこんなに可愛らしいデザインを採用するなんて、さすがはメルヘンの国ですね。

童話の世界から飛び出してきたかのような市庁舎は、いかにも長い歴史を刻んでいそう・・・それもそのはず。この木組みの市庁舎が建てられたのは、1484年のことなのです。

よくよく見てみると、柱の部分に建築年が刻まれています。一見すると「1888」かと思いますが、1つ目と3つ目の「8」は下の部分が閉じていません。これで「8の半分」つまりは「4」を表しており、「1484」になるのです。

通常、市庁舎内部は公開されていませんが、運が良ければ市の担当者のご厚意で、中が見られる場合もあります。

マルクト広場には噴水が立ち、それを取り囲むように観光案内所が入るピンク色の建物や、カフェとして使われている木組みの建物などが並び、美しいハーモニーを奏でています。

古い建物が大切に保存されていながらも、「観光地」というよりは「日常生活の場」といった趣のミッヒェルシュタットは、優しく素朴な日常感が魅力。小さな路地に足を踏み入れれば、今も人が暮らす木組みの家々が並び、木組みの建物を改装したレストランやカフェでは、地元の人々が思い思いの時間を過ごしています。

町の規模のわりにショップが多いミッヒェルシュタットでは、オリジナルのブレンド茶が買えるティーショップ、インテリア小物や手作りの陶器を売る雑貨店など、お土産調達にぴったりのお店も見つかります。大都市にある大手チェーンではなく、こだわりの品々を置く個人経営のお店が中心なので、色々と見て周るだけでも楽しいですよ。

町の中心を散策したら、中心街を囲む城壁のほうへ。城壁をくぐって公園に出ると、ガラリと風景が変わり、石造りの城壁やワイン蔵、円筒形の塔などが目に飛び込んできます。

マルクト広場にいるとまったくわかりませんが、ミッヒェルシュタットは、中世の城壁に囲まれた城塞都市。人通りが多くないことも手伝って、一瞬にしてタイムスリップしたかのような気分にさせられます。

小さな町に、絵ハガキのような風景がギュッと詰まったミッヒェルシュタット。

オーデンの森に囲まれていることから、町のレストランでジビエ料理を食すという楽しみもあります。フランクフルトの喧噪から離れ、小さなおとぎの国に足を延ばしてみませんか。

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