【花の都フィレンツェ】町のシンボルである大聖堂の中は宗教芸術の宝庫
|観光大国イタリアの中でローマやヴェネチアに並ぶ人気を誇るのが、「花の都」とも称される美しい古都フィレンツェ。オレンジ色の屋根が並ぶヨーロッパらしい風景に華やかさと歴史情緒が加わり、何度訪れても心がときめく場所です。
そんなフィレンツェのシンボルでもあるのが、町の中心に立つ大聖堂。市民や観光客からは「ドゥオモ」という呼称で親しまれていますが、正式には「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」という名前があります。
オレンジ屋根のドーム(クーポラ)ばかりが注目されがちですが、実は内部にも見どころが沢山。美術館のように時間をかけてゆっくり鑑賞したい場所でもあるのです。
近郊の町ピサやシエナへのライバル心が建築のきっかけと言われているフィレンツェの大聖堂。1296年に建設が開始され、完成までには実に150年以上もの歳月を要しました。イタリア・ゴシック様式の典型とも言える建物で、白やピンク、緑の大理石で描かれた幾何学模様や細かな装飾で彩られた壮麗な外観からはどことなく神々しさが感じられます。
隅々まで装飾で埋め尽くされた外観から一転、内部は少し物足りなさを感じるくらいシンプル。しかし隅々までよく見ると、著名な芸術家による作品の数々がいたるところに配置され、神秘的な空間をつくり出しています。
なかでも見逃せないのが、クーポラの内部に描かれた「最後の審判」。ミケランジェロの弟子として知られるジョルジョ・ヴァザーリやイングランド女王エリザベス1世の肖像画も手掛けた事のあるフェデリコ・ツッカリをはじめ、多数の芸術家の手により完成したまさに傑作とも言えるフレスコ画です。
ここから視線を入り口側へ向けると、目に飛び込んでくるのは15世紀イタリアを代表する芸術家パオロ・ウッチェロが手掛けた「イタリア時間」を刻む時計。
「イタリア時間」というのは、イタリアで14世紀から用いられいた時間システム。1日を24分割し、日没を24時として1日が始まります。時計の針が現在のものとは逆方向に動くのが特徴で、このイタリア時間を刻む時計は世界でもここだけしか見られないのだそうです。
時計の四隅には「新約聖書」に納められている「福音書」の記者であるマルコ、マタイ、ルカ、そしてヨハネの肖像画が描かれています。
このほか「受胎告知」や「昇天」をテーマにしたステンドグラスやフレスコ画、マリア像のレリーフなどが各所で見られます。
これらが一体になってつくり出される、神秘的な空間。信心深くなくてもどこか心が現れたかのような、清々しい気分になります。
ドゥオモ内部の見学を終えたら、地下のクリプタや隣にある洗礼堂もぜひ訪問してみましょう。ドゥオモのクーポラとジョットの鐘楼は絶景スポットとしても有名ですが、時間がなくてどちらか1つしか行けないのであれば、おすすめはジョットの鐘楼。
というのも、ジョットの鐘楼からはクーポラとセットでフィレンツェの街並みを一望できるからです。クーポラからの眺めももちろん良いですが、「フィレンツェらしい街並み」ではこちらに軍配が上がると筆者は感じています。
またドゥオモやクーポラ、ジョットの鐘楼、洗礼堂などへ入場する場合は「ドゥオモ共通券」の利用がお得なので、こちらもぜひ検討してみてください。
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