クロアチア・ドゥブロヴニクのアドリア海に突き出た美しいロヴリイェナッツ要塞を訪ねて

観光都市クロアチアのなかでも、絶大な人気を誇る町がドゥブロヴニク。アドリア海に面した海洋都市として発展し、最盛期に築かれた美しい街並みが今日でも訪れる者を魅了してやみません。

そんなドゥブロヴニクのハイライトである城壁ウォークを楽しんでいると、ほどなくしてアドリア海に突き出た屈強な要塞が見えてきます。

これが、今回紹介するロヴリイェナッツ要塞。11世紀に建設が始まり、その後は数世紀にわたりドゥブロヴニクの町を敵の侵入から守ってきました。

最近では海外ドラマ「ゲームズオブスローンズ」の舞台になった事でも有名。この場所を訪れるシリーズのファンも後を絶ちません。

この要塞の建設に関しては、面白いエピソードがあります。当時ドゥブロヴニクにおける最大の敵国であったのがヴェネチア共和国でしたが、彼らもよりによって同じ場所に要塞を築こうと計画していたのです。

これを知ったドゥブロヴニク市民は敵の要塞建設を防ぐべく、1018年からわずか3ヶ月という期間でロヴリイェナッツ要塞を完成させたと言われています。

要塞が立っているのは、高さ37mの崖の上。旧市街から出て海岸沿いを歩いていくと、やがて木々の間から建物が姿を覗かせている様子が見えてきます。

入り口までは急な階段が続きます。入り口までたどり着くのも一苦労ですが、これも敵が安易に侵入できるのを防ぐため。

早速中に入ってみましょう。まず目に飛び込んでくるのは、美しいアーチを描いた壁に囲まれた中庭部分。毎年夏に開催されるサマーフェスティバルの際には、ここで演劇や音楽の演奏が行われるのだそうです。

テラス部分に出てみると、広いテラスの片隅に砲弾が積み上げられています。近くで見ると意外に大きくて驚きです。

アドリア海に向かって並ぶ大砲。かつてはこのようにして、敵への攻撃に備えていたのでしょうね。

ロヴリイェナッツ要塞ではアドリア海に面した城壁の厚さが12mもあり、敵からの砲弾をうけても簡単には崩れません。一方で町に面した城壁の厚さは、わずか60cm。

これは手抜き工事をしたわけではなく、敵に要塞が占領された際、町から反撃しやすくするための意図的な設計なのです。

そして、要塞のハイライトといえばテラスから望むドゥブロヴニクの旧市街。こちらも屈強な壁に守られた町のパノラマは、見る者を圧倒するほどの迫力があります。

それは海洋国家として発展した町の誇りを感じさせるかのよう。旧市街の城壁から望む要塞も美しいですが、ここから見える旧市街も負けていません。

ロヴリイェナッツ要塞は旧市街の城壁チケットがあればそれで入場できます(同日中のみ)。ここから望む旧市街は本当に美しいので、ぜひ城壁と併せて訪れてみてください。

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