【大分・由布院温泉】一万坪に佇む全室露天風呂付き離れの宿「ゆふいん 月燈庵」

温泉の源泉数・湧出量ともに日本一を誇る、日本一のおんせん県おおいた。その大分県のほぼ中央部、由布院盆地に位置する「由布院温泉」は、源泉数約900本、湧出量全国第3位の温泉地です。

豊後富士と称される美しい由布岳の麓には個性豊かな温泉宿が点在しており、喧騒から離れた山あいにある全室離れ、露天風呂付きの宿「ゆふいん 月燈庵(げっとうあん)」もその一つ。もともとは杉林だったという約1万坪の自然豊かな敷地に客室はわずか18室しかありません。

母屋は390年ほど前の建物といわれる古民家(庄屋屋敷)を山梨県から移築したもの。二軒分の建物を解体し、再設計の際に二軒分を組み合わせ、旅館としての機能を持たせた母屋に仕上げたそうです。大黒柱には直径50センチもある栂の木が使われており、日本家屋の落ち着きを感じます。

囲炉裏やテーブルは梁の材料を加工して作ったもので、囲炉裏は山桜、フロント前のテーブルは欅が使われています。カウンターの一枚板はブビンガという非常に重い外来木材です。

母屋でチェックインを済ませたら、観樹橋と名付けられたつり橋を渡って、宿泊棟へ向かいます。小川に架けられたつり橋は、風を感じ、由布岳を仰ぎ見ることができる最高のロケーションです。夏には蛍、秋には紅葉が訪れる人の目を楽しませてくれます。

ゆふいん 月燈庵の客室は、全室離れ、露天風呂付きです。本館 スタンダード客室は、長月、葉月、文月、ささゆり、りんどう、あやめ、やまざくら、やまもみじ、やまぶき、つばき、ほたる、せせらぎの全12棟。どの客室も、自然の静寂の中に佇む日本建築の粋を味わえます。

古きよき時代の「茶室」をテーマにした別館 特別客室は、松琴亭、笑意軒、孤篷庵、残月亭、傘亭/時雨亭、湘南亭の全6棟です。由布院の「院」という言葉が意味する「奥まった」や「閉鎖的な」といった独特の表現にふさわしい特別な空間で、思い思いの時間を過ごせます。なお、別館 特別室は中学生未満は利用できません。

本館 スタンダード客室 「文月」

今回宿泊したのは、本館 スタンダード客室の「文月」という、10畳と8畳からなるお部屋です。

長月、葉月、文月と「月」の名前が付いたお部屋は、縁側からは由布岳が見えます。夜が長くなる秋には、障子に映る月の影が伸びて、和のしつらえのお部屋に映えるとのこと。

長月、葉月、文月は和室に布団を敷くスタイルで、5名まで泊まれます。(スタンダード客室の中には、ベッドのついたお部屋もあります)

全室離れなので、旅館のように隣室の話し声や気配を感じることはありません。

庭に専用の露天風呂があり、好きなときに好きなだけ溢れるお湯に身を委ねることができます。

泉質は単純温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)で、神経痛などをはじめ、さまざまな効能をもたらしてくれるそうです。人目を気にすることなく、昼には陽光を感じながら、晴れた日の夜には月や星を眺めながら、ぞんぶんに温泉を堪能できます。

露天風呂付き大浴場

ゆふいん 月燈庵の全18棟の客室はすべて露天風呂付きですが、宿泊者が自由に利用できる男女別の大浴場(内湯・露天)もあります。12時から翌9時まで利用可能です。

手足を伸ばせる大きな湯船の大浴場。

目前に雄大な由布岳が聳え立ち、夜は満天の星空を眺められる露天風呂。

湯船に浸かった状態で由布岳を望めるのはこのロケーションならでは。贅沢な気持ちになれます。

そのほか、特別室の宿泊者だけが利用できる貸切の露天風呂もあります。湯布院の緑が湯に映え、白滝川の水音と風の音が心地良い、静かな森の中の露天風呂です。

四季折々の味を愉しむ食事(夕食・朝食)

夕食はお食事処「月燈庵」で、四季折々の味を愉しむ会席料理をいただけます。大分や九州の食材をふんだんに使った独創的な田舎料理は、目でも舌でも楽しめるものばかり。

お酒も種類豊富にそろっているので、好きなお酒を飲みつつ、ゆっくりと料理をいただけます。おすすめは、月燈庵オリジナルの生酒。大分らしいカボスビールやカボスサワーもありました。

先付けは、カマス若狭焼き、糸瓜羊羹、トマトマリネ、木野子和え、もろみきゅうりと豊後牛。トマトマリネにはマスカルポーネ、ヨーグルト、ブラックペッパー、揚げたバジルがのっていて、手が込んでいます。木野子和えは黒舞茸と白舞茸の白和えで、トリュフと松の実がアクセント。

大分県中津市の名物である鱧を使った鱧カツは、黄身じょうゆ、セロリドレッシングでいただきます。長崎県産穴子をもちごめと一緒に蒸した飯蒸しはふっくら、もっちりとしたおいしさです。

別府港から直送される魚は季節によって変わります。この日は関サバと関アジ、サワラやタイなどが提供されました。刺身のツマには莫大海(ばくだいかい)という珍しい食材(柏樹の木の実を乾燥させたもの)が使われています。味はほとんどありませんが、独特の歯触りがユニークでした。

松茸、赤足えび、鶏肉、マナカツオが入った土瓶蒸しが置かれたプレートは、月燈庵を建てる際に伐採した杉林の杉を使ったものだそう。同じ土地で形を変えて大切に使われているのが素敵です。スタッフの方が配膳の際にそうした話もしてくれるので、より一層食事を楽しめました。

土瓶蒸しには大分産のカボスを絞っていただきした。旬の味わいが口いっぱいに広がります。

大分県で生産される黒毛和牛・豊後牛のすき焼き風は、柔らかく旨みたっぷり。煮汁がしみた大分県産の肉厚しいたけも食べ応えがあります。

豊後牛のすき焼き風は、大分県産の赤たま(赤卵)にくぐらせていただきましょう。ご飯(ゆふいん盆地米)はお代わりもできます。

デザートが出されて、コースは終了。おいしいお酒と料理、そしてスタッフのおもてなしに、お腹も心も満たされました。

朝食も同じくお食事処「月燈庵」でいただけます。目覚めの一杯には、ゆふいん牛乳またはミックスジュース。料理は和定食スタイルで運ばれてきます。

サラダのドレッシングは、かぼす、トマト、玉ねぎ、ごまの4種類からお好きなものを。塩サバ、海苔の佃煮、だし巻き卵、銀餡をかけたひろうす、ほうれん草のお浸し、れんこんのきんぴら、豊後牛肉みそ、大根の漬物と明太子、ポテトサラダ、温豆腐など、品数豊富でご飯が進みました。

(夕食・朝食の内容は2025年9月のものです。時期や仕入れ状況により内容は変わります)

全室離れで静かに過ごせるゆふいん 月燈庵は、本を読むために旅する「読書リトリート」にもぴったりです。読書リトリートは、「スカイスキャナー トラベルトレンドレポート2026」の7つのトレンドの一つにも挙げられています。読書リトリートについては以下記事をご覧ください。

【関連記事】本を読むために旅する「読書リトリート」のすすめ。大分・湯布院で文学に触れる

名称 ゆふいん 月燈庵
所在地 大分県由布市湯布院町川上295-2
公式サイト https://www.gettouan.com/

Post: GoTrip! https://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア